福島県知事選から読み解く内堀県政の展望
医療ジャーナリスト
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1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。
福島第一原発の事故の被害者に対する賠償金が、課税の対象となっている。
福島県内では現在、原発事故に伴い損害を受けた被災者らが東電に対して損害賠償を求める手続きが進められているが、国税庁は昨年末、今回の被災者で事業経営者の営業損害のうち、減収分(逸失利益)に対して支払われた賠償金を、事業所得等の収入とするほか、原発事故の影響で仕事ができなかったことに伴う給与減収分の賠償金も一時所得扱いとし、いずれも必要経費などを差し引いて残った額などに対して課税対象とする方針を示していた。
国税庁は、「心身に加えられた損害に対する慰謝料やその他の損害賠償、不法行為、その他突発的な事故により、資産に加えられた損害に対して支払いを受ける損害賠償」に関しては非課税としているが、営業損害や給与の減収分はその中には含まれないという。
被災者からは「営業損益や給与の減収分に対する損害賠償請求は、現実的に事業所経営や勤労に対して先の見えない不安に対する賠償も含んでおり、『心身に加えられた損害』に当たる。課税対象となるのはおかしい」、「非課税対象を示した所得税法9条に含める運用で対処すべき」など反発や戸惑いの声が上がっている。
福島県内の中小事業所が加盟する福島県商工団体連合会副会長で、相双民主商工会会長、原発から11キロのところに自宅がある紺野重秋さんは「東電の賠償は公的資本注入により進められようとしているなかで、営業損益の減収分を課税対象にするということは、被災者の二度払いと同じ」と批判する。
福島県内の農業者が加盟する農民運動全国連合会副会長で福島県農民連事務局長の根本敬(さとし)さんも「農家の減収分の損害賠償の内容は、前年の売上から減った分を補てんするという意味ではない。農業者が受けた損害として、精神的な被害や、高線量の中で農作業をしなければならないという心身に加えられた損害も加わっている。当然、非課税にすべき」と訴える。
現在の東電に対する損害賠償請求の現状と課題を、医療ジャーナリストの藍原寛子氏がレポートする。