福島県知事選から読み解く内堀県政の展望
医療ジャーナリスト
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1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。
8月下旬に福島県二本松市で早場米「五百川」の収穫が始まるのに合わせて、自家用、贈答用、くず米を含む収穫された全てのコメのセシウムを検査する「全袋検査」が、福島県内で行われている。
昨年の抽出調査で1キロ当たり500ベクレルを超えるセシウムが検出された地域のコメに対しては出荷停止措置がとられ、今年の作付は行われなかった。また100ベクレルから500ベクレルのセシウムが検出された地域では出荷制限が行われ、今年は水田の除染や市町村による計画的な管理と生産量の把握などが行われたうえで、作付されていた。
福島県は今年、県産米の安全性を確認する手段として、全袋検査を実施する方針を打ち出していた。ところが福島県だけでコメの収穫量は35万3000トンを超えため、従来の検査方法では検査に時間がかかり過ぎるという問題に直面していた。このたび検査機器メーカーなどが急きょ、短時間で測定できる装置の開発に着手し、約半年という短い期間で、“世界初”のベルトコンベア式、流れ作業によるコメのセシウム検査器が完成したことで、全袋検査が実現した。
新たな検査機器は測定感度を高め、1袋当たり約10秒で検査することが可能になった。しかも袋に入れたままで測定ができるため、そのまま商品として売ることができるほか、測定結果をオンラインで消費者に知らせるトレサービリティシステムも導入した。
しかし、問題点も残っている。なぜ昨年、福島のコメから基準値超えのセシウムが検出されたのか。水や土質、環境など、複数の要因が絡み合っていることは確かだが、その要因を断定するまでには至っていない。消費者の信頼を確保していく取り組みは、来年以降も継続することになる。
福島で始まったコメの全袋検査と、実際に市場で販売されている様子、生産者と消費者の声、食の安全、安心について、神保哲生と医療ジャーナリストの藍原寛子がレポートする。