福島県知事選から読み解く内堀県政の展望
医療ジャーナリスト
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1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。
認定NPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」と、通信販売の「カタログハウス」がこの夏、福島の子どもや保護者を長野県に招待して保養キャンプを開催し、参加者のなかで希望する子ども130人を対象に信州大学病院で血液や尿検査(64項目)を行ったところ、このうち10人の甲状腺刺激ホルモン(TSH)や、タンパク質(サイログロブリン)の数値が、基準値を上回り、「経過観察」と診断されたことが分かった。
同NPOでは、「甲状腺の機能を調べることに特化した検査ではなかった」とし、基準値を上回った項目について「特異な数値ではなく、放射能の影響とまでは言えない。ただし今後は、数値が基準値内だった子どもも含めて、予防医療の観点から、経過観察と継続的な検査が必要」(神谷さだ子事務局長)と話している。
甲状腺の機能を診断するには、他の甲状腺ホルモンや抗体など複数の検査数値や生活状況なども総合的・長期的にみる必要があるとともに、今回の検査結果が被ばくの影響によるものかどうかを診断するのは難しいとしている。
しかし福島県内の保護者の間では、子どもの被ばく実態を把握したいという関心が高く、同NPOに対して「すぐに検査してくれる医療機関があるなら紹介してほしい」「自分の子どもも検査してほしい」などの問い合わせが寄せられているという。
TSHが基準値を上回った15歳の男子に対し、信州大学病院では「甲状腺刺激ホルモンが軽度上昇していますが、現時点では甲状腺機能正常です。3〜6か月あけて再検(再検査)されることをおすすめします」と診断。男子の父親は、わが子の検査結果が基準値を上回ったことについて「がっかりしたというのが正直なところ。子どもだけでも集団で避難するようなことができたら一番良い。ほかのお子さん、ご両親も心配だと思うので、早い検査体制を整備してほしい」などと訴えた。
現地で取材をしている医療ジャーナリストの藍原寛子氏が報告する。