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遠隔操作ウイルス事件の弁護人の佐藤博史弁護士は5月20日、記者会見を行い、被告の片山祐輔氏が一連の事件の犯行を認めたと語った。同日、東京地裁が保釈の取り消しを認める決定を出したため、東京地検は同日、片山氏の身柄を拘束した。
自治体や企業などに相次いで脅迫メールが送られ、4人の誤認逮捕を生んだ遠隔操作ウイルス事件では、昨年2月に逮捕・起訴された元IT企業社員片山祐輔氏が、自身のパソコンも遠隔操作されており自分は被害者であるとして、一貫して無罪を主張していた。
しかし、今月16日に真犯人を名乗るメールが報道機関などに届き、その送り主が片山氏だったとの疑いが出ていた。
この日の会見で佐藤弁護士は、19日午前から音信不通になっていた片山氏から同日深夜になって連絡があり、16日の真犯人メールを送ったのが自分であることを認めた上で、一連の遠隔操作ウイルス事件の犯人も自分であると語ったという。
片山氏は16日の「真犯人メール」を送ったスマートフォンを荒川の河川敷に埋めていたが、報道を通じてそれが捜査当局に押収されたことを知り、その電話の中に他の事件の証拠も残されていることから、「自分が犯人です」と佐藤弁護士に認めたという。
片山氏の逮捕直後から一貫して氏の無実を主張し、前日の会見でも「片山氏がそのようなメールを送ることはあり得ない」と断定していた佐藤氏は、「片山氏から申し訳ありませんと言われたが、裏切られたという否定的な感情は沸かなかった。私たちを解任して国選の弁護人にしたいと言っていたが、私は見捨てたりはしないと伝えた」と語った。
片山氏の無実を信じた理由として佐藤氏は、片山氏が可視化を条件に取り調べに応じるとしていたにもかかわらず検察が可視化を拒んで取り調べを行わなかったことや、押収した片山氏の携帯電話から決定的な証拠となる江ノ島の猫の写真が見つかったとされる報道が、実際には虚偽だったことなどをあげた。
特に取り調べの可視化について佐藤氏は、可視化をした上で検察が片山氏の取り調べを行い、主張の矛盾点をきちんと指摘していれば、氏は犯行を認めざるを得なくなっていたかもしれないと語った。
「もし検察が可視化して(直接片山氏に取り調べを行って)いたら、もっと早く片山さんに罪を認めさせることができたのではないか」と佐藤氏は述べた。
無実を信じていた依頼者が真犯人だったことについて佐藤氏は、「これは弁護士をしていれば必ず起きること。それで被疑者を非難するようでは弁護する資格はない」と語った。
佐藤氏はまた、昨日からの片山氏との会話の中で、片山氏が自分は平気で嘘をつけてしまう病的なサイコパスであると自らを分析していたと語り、今後の公判では片山氏の精神鑑定なども視野に入れていくことになるとの見通しを示した。