脱法的な神宮外苑乱開発を止めようとしない小池都政の責任を問う
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神宮外苑の再開発計画をめぐり、1月25日、文化遺産の保護活動を行う団体の役員らが東京都庁で会見を行い、事業主体である三井不動産などが作成した環境影響度評価書(環境アセスメント)に重大な不備があるとして再審議を求めた。
会見を行ったのは日本イコモス国内委員会の理事で東京大学名誉教授の石川幹子氏のほか、イコモス国内委員会委員長の岡田保良氏、三宅理一東京理科大学客員教授の3人。
神宮外苑の再開発計画とは、神宮球場と秩父宮ラグビー場を解体して場所を入れ替えると同時に、商業施設が入る超高層ビル3棟の建設などが予定されているもので、2022年に石川氏の指摘により工事の過程で約1,000本の樹木が伐採されることが明らかになったために、根強い反対運動が起きていた。国会では2022年11月、船田元・衆院議員を代表とする超党派の「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」も発足している。
1月10日に三井不動産などの事業者側が都に環境アセスを提出し、1月20日に都がそれを公示していた。評価書は移植や新たな植林により「神宮外苑の豊かな自然環境は維持・保全される」と結論づけているが、石川氏は記者会見で、評価書の内容に誤りが多くあるため、評価書の結論は受け入れられないと指摘した。
都市環境計画が専門の石川氏によると、評価書は実際は落葉広葉樹林と常緑樹林の混交林である建国記念文庫の森を落葉広葉樹林と表記していたり、すでに枯れている老木を保存対象に分類するなど、数々の初歩的な誤りがあったという。また評価書では緑の量と質に関して、「工事の完了後には、新たに植栽された緑地が加わることにより、緑被率は 19.6%となり、現況の 16.0%を上回る」とされているが、石川氏は「芝生や屋上緑化を増加分に含んでいるため、緑の質は劣化する」と、この評価にも異論を唱える。
また石川氏は、一本一本の木を調べる「毎木調査」だけではわからない、森全体が今後どのように変化していくのかを想定するための「群落調査」の重要性を指摘したうえで、今回の環境アセスの群落調査は、調査地の数が極端に少ないなど不十分な調査だとした。
計画では神宮外苑に生えている全部で1,904本の樹木のうち743本が伐採され、移植を含めると1,018本が元の場所から移されることになっていた。石川氏は「評価書は論拠がなく、非科学的だ」として、再審議を求めた。