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NHKが再び番組への介入問題で大きく揺れている。
NHKが2018年、かんぽ生命保険の不正販売の実態をいち早く把握していながら、同保険の販売元である日本郵政から働きかけを受けた当時のNHKの経営委員会が、上田良一会長(当時)に厳重注意処分を下すなどしてNHK側に圧力をかけたために、問題を指摘する続報の放送が9ヶ月以上も遅れ、その間、被害者が増え続けてしまった疑いが持たれているのだ。
長年NHK問題を追及している醍醐聰東京大名誉教授や元NHKのチーフプロデューサーで20年前の番組改変問題で内部告発をした後にNHKを退職したジャーナリストの長井暁氏ら104人の有志は6月14日、NHKと経営委員会の森下俊三委員長を相手取り、上田会長の厳重注意処分を決定した経営委員会の議事録の全面開示と慰謝料を求めて提訴に踏み切った。
議事録を巡っては、NHK自身が設置する第三者機関「NHK情報公開・個人情報保護審議委員会」が2度にわたり全面開示を求める答申を出しているが、NHKは「判断に時間を要する」などと主張してこれまで公開に応じていない。
この問題をめぐっては、かんぽ生命保険を販売する日本郵政傘下にある全国の郵便局員が、高齢者などを騙すような形でより高額な保険商品に乗り換えさせたり、保険金を二重徴収したり、加入者が病気になっても保険金の支払いを拒否するなどの不正が2018年以降明らかになり社会問題化していたが、最初にこの問題を把握し、第一報をスクープしたのがNHKだった。
しかし、その報道を受けて日本郵政に上級副社長として天下っていた鈴木康雄元総務事務次官が、当時経営委員長代行で元NTT西日本社長として総務省とも深い関係を持つ森下俊三経営委員長に「NHKのガバナンスがなってない」ことを理由に抗議を行い、森下氏がNHK幹部に報道内容について注文を付けたために、結果的にこの問題におけるNHKの続報の放送が9ヶ月以上遅れ、その間もかんぽ生命保険の異常な営業活動の被害者は増え続けた。
原告を代表して14日会見を行った醍醐聰氏は、「NHKを本来の民主的な姿に戻すことに全力を挙げたい」と抱負を述べた。