トラウマを乗り越えることの難しさを社会は理解できていない
児童精神科医
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旧ジャニーズ事務所が、故ジャニー喜多川氏(本名・喜多川擴=2019年7月9日死去)による性加害を認めて謝罪した会見から1年が経ったことを受け、10月9日、被害当事者らが日本記者クラブで会見を行い、問題が風化していることへの危機感を訴えた。
登壇したのは旧ジャニーズ事務所の元所属タレントの志賀泰伸氏、長渡康二氏、中村一也氏の3人。
志賀氏は、昨年、実名を公表し顔を出して被害を告白してから、ものすごい数の誹謗中傷を受けた経験を明らかにした上で、この1年間、「正直、なんとか生きてきた」と語った。また、ジャニーズ事務所の後継会社であるスマイルアップ社が、被害者たちへの十分な誹謗中傷対策を行っていないことの問題を指摘した。
長渡氏は、「補償金をもらえば心は癒えるかというと、全くもってノーだ」とし、被害者が色々なトラウマを抱えている中で、それを放置して幕引きさせてはいけないと訴えたうえで、声を上げる人がいなくなれば問題は風化の一途をたどるからこそ、声を上げ続けていかないといけないと語った。
中村氏は「性暴力が社会問題化している中で、社会的影響力のあるスマイルアップ社が社会啓発を行っていくことが、社会的責任、再発防止、信用回復につながるのではないか」としたうえで、「そこに蓋をしては同じことを繰り返す」と語った。
会見では中村氏が、被害を告白した後に誹謗中傷を受け昨年10月に自死した男性の妻の手紙を代読した。手紙には「ジャニーズ事務所は、被害者に寄り添っている風に見せかけて、自分たちの保身しか考えていないように感じる」と綴られていた。
誹謗中傷から家族を守るためにアイルランドに移住した被害当事者の二本樹顕理氏も、この日の会見に手紙を寄せた。読み上げられた手紙には「補償金さえ払えば終わりとするのではなく、全容解明した上で、再発防止策を打ち出し、二度と同じことが起こらないようにしてほしい」などと綴られていた。
自宅で性被害を受けた俳優の服部吉次氏はビデオレターの中で、「なぜ日本人は繰り返される性暴力に対して、上級者の特権をかざして安易な解決を求めようとするのか」と訴えた。