裏金が作り放題の政治資金規正法の大穴を埋めなければならない
神戸学院大学法学部教授
弁護士、元検事
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自民党のパーティ券裏金問題をめぐり、立憲民主党の「自民党派閥裏金調査チーム」が12月18日、国会内でヒアリングを開催し、政治資金規正法に詳しい郷原信郎弁護士から現行法の問題点などについて説明を受けた。
今回の裏金疑惑では、パーティ券の売り上げの一部が各派閥から国会議員に裏金として還流され、派閥側では収支報告書に記載しない方針を決めていたことが明らかになっているが、その一方で、議員側でも裏金を収支報告書に記載しなかったことが、政治資金規正法違反に問われるかどうかが争点となっている。
市民感覚では到底看過できない裏金だが、郷原氏は現行の政治資金規正法は政治家が直接裏金を受け取っても、それだけで直ちに処罰はできない建て付けになっていると指摘する。国会議員は自身が支部長を務める政党支部を含め、複数の資金管理団体を持っているため、資金を受け取ってもどの団体で政治資金として処理すべきだったのかが特定できない限り、現行の政治資金規正法では処罰できないと郷原氏は語る。
これは単なる机上の空論ではなく、郷原氏自身が検事の時代に政治家の裏金を捜査する中で、この壁に阻まれて政治家本人を立件できなかった経験を持つという。
このような国民感情から大きく乖離した政治資金規正法を正常な状態にするためには、現在複数の団体で管理が可能となっている政治家の政治資金について、すべての団体を包括する形で総括収支報告書の提出を義務づける必要があると郷原氏は言う。
また、1994年に政党交付金が導入された際、5年以内に禁止されることが前提となっていたはずの政治家への企業・団体献金だが、今回明らかになった裏金に加え、政党支部への献金が事実上企業・団体献金の抜け穴として機能している問題にも、この際、メスを入れる必要があるだろう。