裏金が作り放題の政治資金規正法の大穴を埋めなければならない
神戸学院大学法学部教授
弁護士、元検事
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1955年島根県生まれ。77年東京大学理学部卒業。民間企業勤務を経て80年司法試験合格。83年検事任官。東京地検、広島地検、長崎地検、東京高検などを経て2006年退官。08年郷原総合法律事務所(現郷原総合コンプライアンス法律事務所)を設立。10年法務省「検察の在り方検討会議」委員。11年九州電力やらせメール事件第三者委員会委員長などを務める。著書に『“歪んだ法”に壊される日本』、『「単純化」という病』など。
自民党の各派閥がパーティ券収入の一部を裏金として政治家へキックバックしていた疑惑が広がる中、弁護士の郷原信郎氏と田中直紀・真紀子夫妻が2023年12月8日、参議院議員会館内で記者会見を行い、「裏金」を制御できない現行の政治資金規正法の改正に向けて協力していく意向を明らかにした。
自民党に限らず日本の政治の世界では政治資金集めのパーティが広く行われているが、自民党の各派閥では所属する議員に一定額のパーティ券販売のノルマを課す慣習が一般化している。今回はノルマを超えたパーティ券を売り捌いた政治家には派閥からキックバックが行われ、これが政治の世界の裏金として使われていた疑惑が取り沙汰され、政治とカネをめぐる大きなスキャンダルになりつつある。
元衆院議員で外相も務めた経験を持つ田中真紀子氏は政治資金に関する勉強会を郷原氏などと行ってきたことを明らかにした上で、パーティ券問題や裏金問題など昨今の政治資金をめぐる政界の動きを批判した。特に松野博一官房長官が、キックバックで得た裏金を政治資金収支報告書に記載していない疑惑に対する説明を拒否している問題については、「答弁を差し控えさせていただきますというのは、やましいから答えられないんでしょ」とこれを痛烈に批判した。
政治資金規正法に精通し、検事として疑獄事件を捜査した経験も持つ弁護士の郷原信郎氏は、現行の政治資金規正法には裏金を受け取っただけでは立件できないという大きな欠点があり、これを埋めることが喫緊の課題だと語った。