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肺がん治療薬イレッサの重大な副作用の危険を知りながら適切な対応を怠ったとして、死亡した患者の遺族らが国と製薬会社を訴えていた裁判で最高裁は12日、原告の訴えを退ける判決を下した。8年に及んだ裁判は、被害者側の全面敗訴という形で終結した。
原告代理人の水口真寿美弁護士は判決後の記者会見で、「不当な判決。しかし、この判決は国と製薬会社の損害賠償の責任を認めなかったというだけであって、彼らが正しかったことを意味するものではない。これを今後の教訓として欲しい」と述べた。
夢の肺がん特効薬として大々的に喧伝されたイレッサは2002年の承認後、副作用の間質性肺炎で死亡する患者が続出した。輸入元のアストラゼネカ社が当初、医師向けに添付した文書に、「重大な副作用」として間質性肺炎の記載はあったが、他の副作用と同列に列挙されただけだったために、医師に対する危険性の情報提供が不十分だったことが問題となった。その後添付文書で間質性肺炎の危険性が「警告欄」に記載されて以降、死亡例が激減したことで、当初の副作用の表示方法が十分なものだったかどうかが争点となっていた。
最高裁第3小法廷はこの日の判決で、当初の添付文書の表記でも「医師は当時の添付文書を読めば危険性を十分認識できた」として、添付文書に問題はなかったと判断した。また、同様の理由で、添付文書を指導する立場だった国への責任追求も退けた。
イレッサで次女を亡くした原告の近沢昭雄さんは、敗訴という結果に悔しさをにじませながらも、「二度と被害を繰り返さないよう、医療現場、製薬会社、厚労省には教訓を得てほしい」と、苦しい裁判を無駄にしないよう訴えた。
12日の最高裁判決を受けた原告団の記者会見の模様をノーカットでお送りする。