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一票の格差が最大2.13倍だった2014年12月の衆院選が違憲だったとして、2つの弁護士グループが選挙の無効を求めていた裁判で、最高裁大法廷は11月25日、「違憲状態」と判断したのを受けて、原告の2つの弁護士グループはそれぞれ記者会見し、主張が認められなかったことへの無念さを露にした。
1975年から一票の格差訴訟を続けている山口邦明弁護士は「ありきたりの判決でがっかりした」と語り、3度目となる「違憲状態」判決に落胆の色を隠さなかった。
もう一つのグループの升永英俊弁護士は、最高裁が「違憲状態」と判断しただけでも十分に問題であるにもかかわらず、メディアや国民がそう受け止めていないところに問題があると指摘し、違憲状態であり正統性のない国会が、次々と重要な法律を制定していることを批判した。
最高裁は前回、前々回に引き続ぎ、投票価値に最大で2.13倍、2倍以上の格差のある選挙区が13区あった2014年の衆院選が、憲法14条が定める法の下の平等原則に反する憲法違反の状態にあったことは認定した。しかし、その一方で、国会には選挙制度を定める上で一定の裁量が認められているとして、2013年の違憲判決からまだそれほど時間が経過していないことや、国会が不十分ながら0増5減の区割り変更を行っていることなどを評価して、選挙が違憲であり無効だったとまでは言い切れないとする判断にとどまる「違憲状態」判決を言い渡した。
違憲状態判決は、あくまで違憲ではあるため区割りの改正を国会に対して期待するとの意味は持つが、選挙そのものの有効性を否定するものではないため、修正のための猶予期間や修正内容については、国会の裁量に委ねられるとの意味を持つと解されている。
今回の最高裁大法廷で審理に加わった14人の裁判官のうち、9人が「違憲状態」とする多数意見だったほか、2人が「違憲・無効」、1人が「違憲・有効」、2人が「合憲」の判断だった。前回2013年の大法廷判決で唯一「違憲無効」の立場をとった山本庸幸裁判官は、前職の内閣法制局長官として「0増5減」の区割り改定に関与したことから、今回の審理には参加しなかった。