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2011年のいわゆる「清武の乱」で、読売グループ本社の渡辺恒雄会長を批判しプロ野球巨人軍の球団代表を解任された清武英利氏が執筆した書籍の復刻版の出版をめぐり、読売新聞東京本社が出版社の七つ森書館に対し、出版の差し止めと損害賠償を求めていた裁判で、東京地裁は9月12日、出版の差し止めと、七つ森書館側に171万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
問題となった本は1998年に読売新聞社会部が別の出版社から出版していた「会長はなぜ自殺したか」と銘打った単行本で、当時読売新聞社会部の記者だった清武氏を中心とする読売新聞社会部金融班が、大手銀行の利益供与事件を取材して一冊の本にまとめたもの。七つ森書館はその復刻版を出版するための契約を2011年5月に読売側と結んでいたが、その後、清武氏が巨人軍のコーチ人事をめぐり渡辺会長を公然と批判したことで、清武氏と読売グループとの間に確執が生じ、読売側が七つ森側に契約の解除を申し入れていた。
七つ森書館は契約の解除を拒否して本の出版を強行し、販売を始めたが、その後、読売側が東京地裁に申し立てた販売を差し止める仮処分が認められ、本の販売は止まっている。
裁判では読売側は原著書の著作権が読売新聞に帰属すると主張し、七つ森側は清武氏ら執筆者に著作権があると主張していた。
この日の判決ではこの書籍は読売の記者が書いた「職務著作」あたるもので、書籍の著作権は読売新聞社に帰属すると認定した上で、著作権を持つ読売側の契約解除の申し入れを無視して復刻版の販売を行ったことは著作権の侵害に当たると判断。読売側の差し止め請求を認めた上で、著作権者の許可なく出版を強行したとして、七つ森に対して171万円の賠償金の支払いを命じた。
判決後、七つ森書館の中里英章社長は清武氏らと記者会見にのぞみ、「我々の主張が認められなかった。(今回の判決が)日本のジャーナリズムの大きな汚点となることを恐れる」と語るとともに、「不当判決であり控訴する」考えを明らかにした。