五輪談合事件に見る、捜査能力の劣化で人質司法に頼らざるをえない特捜検察の断末魔
マル激 (第1172回)
ゲスト郷原信郎
弁護士
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刑事司法制度の改革を議論してきた法制審の特別部会が7月9日、刑事事件全体の2%のみを対象に全面可視化を行う答申を決定したことを受けて、冤罪事件の被害者らが同日、記者会見を行い、限定的な可視化では冤罪はなくならないとして、答申案を厳しく批判した。
強盗殺人事件「布川事件」で無期懲役の判決を受けながら後に再審無罪を勝ち取った桜井昌司氏は「全事件で可視化をしなければ冤罪は防げない」と述べた上で、可視化を制限しながら警察・検察の捜査権限の強化を図ろうとする答申を「あんなのは火事場泥棒だ」と語った。
電車内で女子高生に痴漢行為をしたとして強制わいせつ罪に問われ最高裁まで争った末に無罪を勝ち取った元防衛医科大学校教授の名倉正博氏は「(答申は冤罪被害者の声を)全く汲んでいません。よくなるどころか悪くなるのではないか」と語り、法制審の特別部会が当初の設立目的から外れていることを指摘した。
名倉、桜井両氏はこの会見に先立ち、特別部会の審議のやり直しを求める申し入れ書を法務省に提出したことを明らかにした。
この日申し入れを行った冤罪被害者の中には桜井、名倉両氏のほか、志布志事件の川端幸夫氏、東電OL殺人事件のゴビンダ・プラサド・マイナリ氏、足利事件の菅谷利和らが名を連ねている。