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刑事司法の改革を議論してきた法相の諮問機関・法制審議会の特別部会が7月9日、刑事事件全体の約2%だけを対象に警察や検察の取り調べの可視化を行う答申案を承認したことを受けて、特別部会の委員を務めた村木厚子厚生労働事務次官や映画監督の周防正行氏らが同日会見を行い、不満ながらも前進があったことを評価したいとするコメントを発表した。
法制審の特別部会は村木氏、周防氏を含む5人を除き、残るほぼ全員が取り調べの可視化によって直接影響を受ける法曹関係者から成る。「非法律家」の5人の委員は、互いに連携して取り調べの全面録音・録画を求める声明文などを発表してきたが、3年がかりでこの日まとまった答申は裁判員裁判対象事件などごく一部の事件のみを可視化の対象とすることが決まり、多いに不満の残るものとなった。
村木さんは「将来的には(可視化の対象)範囲を拡大するという方向性が確認されたことを評価したい」と、不十分ながら全面可視化の義務付けが決まったことや、今後可視化の対象事件を拡大していく方針が確認されたことなどを理由に、最終答申案に賛成した理由を説明した。
痴漢冤罪事件をテーマにした映画「それでもボクはやってない」を監督した周防正行氏は特別部会の委員の圧倒的多数を法曹関係者が占めるという「多勢に無勢」の中で、自分たちの主張が十分に実現しなかったことを悔しみながらも、「これが民主主義というものなのだと思う」と、村木氏と同様、今後の進展に期待をにじませた。
村木氏自身が冤罪被害者となった大阪地検の証拠改竄事件をきっかけに、刑事司法制度の改革を議論してきた法制審議会は可視化については全刑事事件の2%程度を占める裁判員裁判の対象となる事件に限定する一方で、盗聴権限の拡大や司法取引の導入など、警察・検察の権限の捜査拡大も提言している。