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2023年02月09日公開

岸田政権を支える秘書官の資質を問う

ポリティコ ポリティコ (第4回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2023年05月09日23時59分
(終了しました)

概要

 岸田政権の迷走が続いている。しかも、よりによって総理を支えるはずの秘書官の不祥事が、その引き金になっているという有様だ。

 2月3日、事務秘書官の筆頭格で首相の国会答弁や演説の作成も担当している荒井勝喜氏からオフレコの記者懇談で、LGBTQなどの性的少数者は「見るのも嫌だ。隣に住んでいたらやっぱり嫌だ」などというあからさまな差別発言をしていたことがわかった。

 これに先立つ2月1日、岸田首相は国会の予算委員会における答弁で、日本で同性婚が法的に認められれば「社会が変わってしまう」などと発言していた。首相はトンデモ発言の秘書官を直ちに更迭したが、首相自身の国会答弁と相まって、岸田政権の体質が根本的に問われる事態にまで発展している。

 荒井氏の発言がより深刻なのは、氏が記者に対して他の秘書官たちも一様に同じ考えであると語っていたことだ。

 同性婚を法的に認めず、LGBTQに対する差別を禁止する法律も存在しないのは、G7の中で今や日本だけだ。政権としては5月に控えるG7広島サミットを前に、この問題に国内のみならず国際的な焦点が当たることは何としても避けたかったと見えて、これまでにないほど迅速に荒井氏の更迭に踏み切ったが、今回の問題以外にも数々の差別発言を繰り返していた杉田水脈衆院議員を総務政務官に抜擢するなど、表向きは多様性を謳いながらその内実は差別主義的な考えが蔓延している政権の内実を露呈してしまった。

 秘書官を巡る問題は差別発言にとどまらない。昨年政務の総理秘書官に抜擢された岸田首相の長男の翔太郎氏も、首相の訪問先で公用車を使って観光やお土産購入を行っていたことが明らかになり、国会でも追及を受けている。野党からの質問に対し首相は、「お土産の購入も公務」と答えなければならないなど、岸田政権は秘書官に足を引っ張られっぱなしだ。そもそも政治経験が皆無で永田町にも霞ヶ関にも人脈のない翔太郎氏に、議員や官僚への根回しといった高度に政治的な手腕を必要とする政務秘書官が務まるのか、はなはだ疑問だ。もっぱら自身の後継者育成のために明らかに能力に欠ける身内に首相秘書官という公務ポストをあてがうのは、公私混同の誹りを免れない。

 翻って野党は何をやっているのか。本来であればこのような政権の立ち往生は野党にとって千載一遇のチャンスとなるはずだが、なぜか野党陣営はまったく腰砕けなままだ。野党の低迷が政権から緊張感を奪っているとすれば、その責任も重い。角谷氏は将来を見通せない立憲民主党が今年中にも左右に分裂し、大きな野党再編が起きる可能性が高いと見る。どれだけ与党に不祥事が起きても、日本の政治は全く変わらないままなのか。日本の政治に緊張感をもたらすような与野党伯仲の時代は再び来るのか。政治ジャーナリストの角谷浩一とジャーナリストの神保哲生が議論した。

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