2014年06月14日公開

立憲主義と「決めるのは私」の問題点

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概要

 安倍政権の暴走に危機感を募らせた大学教授らから成る「立憲デモクラシーの会」(共同代表・奥平康弘東京大学名誉教授、山口二郎法政大学教授)が6月9日、会見を行い、解釈改憲による集団的自衛権行使に反対の声明を発表したが、会見に参加した大学教授らの多くは個別の政策以前の問題として、安倍政権の政治手法に強い危機感を表明した。
 会のメンバーで改憲論者を自任する憲法学者の小林節慶應義塾大学名誉教授は、安倍政権が集団的自衛権の行使が必要になる事例として挙げている邦人を救助した米国艦船を守るための武力行使について「邦人を守るのは個別的自衛権。わざわざそれをあげてくるのは確信犯だ」と、誤った事例で意図的に国民を騙して解釈改憲のごり押しを目論む安倍政権の手法を厳しく批判した。
 小林氏はまた、「憲法解釈は首相が行い、問題があれば最高裁が違憲判決を出せばいい」とか、「次の選挙で投票しなければいい」という考え方は「一度戦争が始まってしまえば、後から裁判所が何を言おうが取り返しがつかない」などの理由から、立憲主義の観点からも、また国際的にも、そのような解釈は受け入れられていないと指摘した。
 米最高裁のような、専ら憲法判断を行う憲法裁判所を持たない日本では、解釈改憲が行われても直ちに裁判所が介入する余地はない。憲法解釈が変更になり、それに基づいて法改正が行われた上で、その法が執行される過程で告発された違反者が、自らの弁護のために対象となる法の違憲性を主張した時に、初めて裁判所が憲法判断を行うことになるため、実際に裁判所の憲法判断が行われるまでには相当な時間を要することになる。
 会見した大学教授らはまた、マスメディアが「積極的平和主義」や「最小限の集団的自衛権」のような安倍政権が多用する論理矛盾をした用語をそのまま報じることで、政権の欺瞞的な手法の片棒を担いでいるとして、メディアに対してより公正な報道を求めた。

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