この運用基準で秘密保護法の濫用は防げるか
NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長
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ジョンソン政権以降の米歴代政権で日米関係に深く関わり、政府の秘密指定の指針となる「ツワネ原則」の策定メンバーも務めたモートン・ハルペリン氏が5月9日、外国特派員協会で会見し、政府に莫大な自由裁量を認めている日本の秘密保護法を厳しく批判した。
「そもそも情報は政府のものではなく国民のものだ。やむを得ない場合に一部秘密指定が認められるとしても、それは限定的かつ明確に定義されたものでなければならない。」ハルペリン氏はこのように語り、昨年12月に成立した日本の秘密保護法の問題点を細かく指摘した。
とりわけハルペリン氏はオバマ大統領が2009年に制定したアメリカの秘密保護法令にあたる「大統領令13526」と日本の秘密保護法を比較した上で、アメリカの制度では秘密指定できる情報に厳しい制約がある点や、その情報が公開されることで国家安全保障にどのような悪影響を及ぼすかを文書で明確にしなければならないこと、文書全体ではなく段落ごとに秘密指定が必要なのに対し、日本の秘密保護法にはいずれの制約もない点を指摘。12月までに制定されることになっている政府の施行令や運用基準にそうした制約を含めることが重要になるとの認識を示した。
政府は昨年12月6日に可決した秘密保護法が1年以内の施行を明記していることから、12月までに施行令と具体的な運用基準を策定し、閣議決定をしなければならない。現在、渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長が座長を務める情報保全諮問会議と呼ばれる有識者会議でその内容が議論されている。施行令と運用基準には行政文書を秘密に指定する際の基準やその解除の基準などが含まれる予定。
ハルペリン氏の講演をもとに、日本の秘密保護法と米大統領令13526の違いと、現在政府の有識者会議で行われている施行令や運用基準作りの課題を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。