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米ワシントンの連邦地裁は12月16日、NSA(国家安全保障局)がテロ対策として行っている不特定多数の一般市民を対象とした通話記録の収集が違憲の疑いが高いとの判断を下した。 同地裁のリチャード・レオン判事は、通信会社の2人のユーザーが訴えていたNSAによる通話記録の収集の差し止めに対して、政府の行為は合衆国憲法第4修正条項が禁じる「不当な捜索」に当たる可能性が高いと判断し、政府に対し、原告の通信記録の収集を禁じるとともに、これまで収集した原告の通信記録を破棄するよう命令した。
エドワード・スノーデン氏の内部告発によってNSAが行ってきた米国民に対する広範な通話記録やメールの収集が明らかになっているが、メタデータと呼ばれる通話記録の収集について米政府は、捜査機関によるメタデータの収集は憲法修正第4条には抵触しないとした1979年の最高裁判決を理由に、その合法性を主張していた。
しかし、この日の判決でレオン判事は1979年以降市民の政府の監視能力は変化しており、携帯電話の普及によってメタデータからより多くの情報を読み取れるようになっているなどの理由から、79年の判決は判例としての価値をほとんど持たないとして、政府側の主張を退けた。
レオン判事はまた、政府がNSAが収集した大量のメタデータを分析することによって、切迫したテロ攻撃を実際に止めた事例を一つも示していないことなどから、NSAによる大量のメタデータの収集の有効性にも疑問を投げかけた。
なお、オバマ政権の上訴が確実視されているため、連邦高裁、もしくは最高裁の判断まで判決は確定しない。