五輪談合事件に見る、捜査能力の劣化で人質司法に頼らざるをえない特捜検察の断末魔
弁護士
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生活の党の小沢一郎代表が強制起訴した検察審査会に対する虚偽の捜査報告で告発されていた元東京地検特捜部の田代政弘検事の事件は、先週最高裁がこれを不起訴処分としたことで、一旦は収束したかに見えた。
しかし、市民団体「健全な法治国家のために声を上げる市民の会」は8月12日、田代元検事を別の事件で告発した。
これは、田代氏が小沢氏の秘書だった石川知裕氏を逮捕するために、氏が取り調べに対して「生きていけない」などと供述するなどして、自殺の恐れがあるとの虚偽の報告書を作成し、裁判所から不当に逮捕状を取り付けたというもの。
あらためて田代氏を告発した市民団体「健全な法治国家のために声を上げる市民の会」の八木啓代代表は、田代氏が捜査報告書を偽造した根拠として、厚労省の村木厚子元局長(現次官)の事件で証拠を改ざんしたとして有罪判決を受けた大阪地検特捜部の前田恒彦元検事がYahoo!ニュース内に実名で投稿したブログ記事をあげた。記事の中で前田氏は、当時同僚だった田代氏から、小沢氏の犯罪への関与を立証するためにどうしても石川知裕氏を逮捕したかったので、虚偽の捜査報告書を作成したことを告白されたと指摘していた。
八木代表は、前田氏のブログ記事が十分に信用できると考える理由として、前田氏の証言が、彼の上司だった大阪地検特捜部の大坪弘道部長らの逮捕・起訴の根拠となっていることをあげた。
前田氏が書いている田代氏とのやりとりがまったくのでデタラメだということになれば、「大阪地検特捜部事件における検察の立証そのものが崩れてしまう」と八木氏は語った。
別の事件で有罪判決を受けた検事が、同僚の検事を告発する形となった今回の告発劇から見えてくる検察の実情を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。