2015年06月06日公開

国民の財産を預かる年金機構には外部監視の目が不可欠だ

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ゲスト

1955年島根県生まれ。77年東京大学理学部卒。三井鉱山勤務を経て80年司法試験合格。83年検事任官。東京地検検事、広島地検特別刑事部長、長崎地検次席検事、東京高検検事などを経て、2006年退官。08年郷原総合法律事務所(現郷原総合コンプライアンス法律事務所)を設立。10年法務省「検察の在り方検討会議」委員。著書に『「深層」カルロス・ゴーンとの対話:起訴されれば99%超が有罪となる国で』、『検察崩壊 失われた正義』など。

著書

概要

 日本年金機構のコンピューターネットワークがウイルスに感染し、125万件にのぼる年金加入者や受給者の個人情報が外部に流出したことを受けて、昨年3月末まで総務省の年金業務監視委員会の委員長を務めた郷原信郎弁護士は、国民の財産を預かる年金機構には外部監視の目が不可欠であることがあらためて明らかになったと語る。
 今回も職員のパソコンに届いたメールを通じて組織内のネットワークがウイルス感染したという事案だが、機構側から不信なメールは開けないよう指示が出ていながら、その指示が徹底されていなかったために、複数の職員がメールを開き、感染していたという。また、社会保険ネットワークから個人情報をコピーして持ち出す場合は必ずパスワードをかける決まりになっていたのに、ほとんどのファイルにパスワードがかかっていなかったという。
 民主党政権下で総務省に設置された年金業務監視委員会の委員長として日本年金機構や厚労省年金局の年金業務を監視してきた郷原氏は、昨年3月の任期をもって監視委員会が廃止となった際に、「年金業務を監視する機関が必要」との意見書を総務大臣に提出している。しかし、新藤総務大臣(当時)は、厚労省が独自に監視すれば十分と、これに取り合わなかった。
 しかし、今回の情報流出事件で、年金監視機構は内部のガバナンスに問題があり、厚労省には年金機構を監視する能力が欠けていることがあらためて明らかになったと郷原氏は言う。
 ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が郷原氏に聞いた。

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