電力供給の8割を再エネで賄うことは可能だ
自然エネルギー財団シニアマネージャー
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1983年千葉県生まれ。2006年千葉大学法経学部卒業。11年同大学大学院人文社会科学研究科博士課程修了。博士(公共学)。専門はエネルギー政策論、環境マネジメントシステム論。千葉大学法経学部特任講師を経て12年より現職。著書に『知ろう!再生可能エネルギー』、『地図で読む日本の再生可能エネルギー』。
福島第一原発の事故を受けて、再生可能エネルギーを推進する目的で設置された固定価格買い取り制度が、大きな岐路に差し掛かっている。
先月、九州電力など電力5社が突然、大規模太陽光発電所などとの契約手続きの中断を発表した。事業者に対する説明会では、唐突な決定に怒号が飛び交うなど、混乱の様相を呈した。
そうした事態を受けて、経産省が10月15日、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の抜本見直しに向けた素案を有識者会議に示すなど、波紋が広がる一方だ。
混乱の背景には、特に九州や北海道で、当初の予定を大きく上回る量の再生可能エネルギーの発電事業が起ち上がったために、送電網の独占を前提に電力の買い取りを義務づけられた電力会社の対応能力を超えてしまったという事情がある。
電力会社は天候や時間によって大きく変動する再生可能エネルギーの比率が多くなり過ぎれば、系統と呼ばれる送電網が不安定になり、停電などの問題が生じかねないと主張するが、とはいえ日本における再生可能エネルギーの全電力に占める比率はせいぜい3%程度。再生可能エネルギーのシェアが2割ほどあるドイツやスペインの系統では問題が起きていないにもかかわらず、なぜ日本だけが僅かな変動電源を消化できないのか。
公共学が専門で地方自治体の再生可能エネルギー推進を手がける元千葉大講師の馬上丈司氏は、今こそ、日本は何のために再生可能エネルギーを推進してきたのかを再確認すべきだと主張する。
馬上氏に5電力の買い取り保留の問題点と、今後の展望を聞いた。