原理原則なき「デジタル改革関連法」では個人情報は護れない
NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長
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1972年東京都生まれ。96年横浜市立大卒。同年「情報公開法を求める市民運動」事務局スタッフ。99年NPO法人情報公開クリアリングハウスを設立、室長に就任。理事を経て2011年より現職。共著に『社会の「見える化」をどう実現するか―福島第一原発事故を教訓に』、『情報公開と憲法 知る権利はどう使う』など。
政府が10月14日に閣議決定した特定秘密保護法の指定や解除のルールを定めた運用基準で、かねてから懸念されてきた濫用を防ぐことができるのか。
秘密保護法の問題点を指摘してきたNPO情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、政府が14日に決定した運用基準では、当初から懸念されてきた濫用は防げないと指摘する。
渡辺恒雄読売新聞主筆が座長を務める情報保全諮問会議が定める運用基準には、特定秘密の指定の方法やその基準、解除のルール、監視体制など同法の具体的な運用方法が盛り込まれることが期待されていた。しかし、秘密指定の基準やルールは明確に示されておらず、濫用を監視する機関についても、強制力を持たない弱い権限しか与えられていない内容で、当初期待された濫用を防ぐ効果は期待はずれに終わった。
特定秘密保護法は防衛、外交、スパイ活動、テロの4分野で、漏えいすれば国の安全保障を著しく損なう恐れがある情報を、政府が特定秘密に指定し、それを漏らした公務員や民間人には最高10年の懲役を科すことができる法律。
しかし、法律に明記されている秘密の定義や運用方法が曖昧なことから、政府が自分たちに不都合な情報を秘密にするための道具として濫用される危険性が懸念されていた。
この日の閣議決定では、同法が12月10日に施行されることも正式に決まった。
閣議決定された運用基準の評価を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が三木氏と議論した。