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14歳にしてRSS規格の開発に貢献するなどインターネット界では天才と呼ばれ、インターネット民主化の活動家としても世界的に知られるアーロン・シュワルツ氏が1月11日、ニューヨークの自宅で自殺した。26歳だった。
氏の自殺の原因について現時点ではまだはっきりしたことはわかっていない。しかし、インターネットを通じた民主的な政治システムの構築に尽力してきた同氏が、マサチューセッツ工科大(MIT)などの論文データベースから大量のデータをダウンロードしたことでマサチューセッツ州連邦検察局の厳しい追及を受けていたことが氏を自殺に追い込んだと、氏の遺族らは主張している。
シュワルツ氏は14歳の時、ウェブサイトの情報を配信するための規格「RSS」の作成に参加し、ネット界の天才と呼ばれた。その後ソーシャルニュースサイト「Reddit(レディット)」の開設に関わり、ネット監視に抗議する政治団体の設立にも積極的に参加していた。
また、シュワルツ氏は学術雑誌論文のオープンアクセスを提唱しており、その実現のために自身もゲリラ的に論文を大量ダウンロードしていた。
今回はMITや非営利団体JSTORから400万点もの学術論文を盗んだとして、マサチューセッツ州の連邦検事からコンピューター不正利用で告訴されていた。シュワルツ氏はそれらの学術論文は、その研究のためにアメリカ国民の税金が使われている以上、公開されるべきと主張していた。
氏と親交が厚くサイバー法の権威でもあるハーバード大学のローレンス・レッシグ教授は自身のブログなどで、公開されるべき学術論文をダウンロードした行為に対して、禁固50年、罰金100万ドルという法外な刑罰を求刑する姿勢を見せていた連邦検事局の姿勢を厳しく批判している。
シュワルツ氏の自殺を受けて、氏の遺志を引き継ごうとする動きが世界的に広がっている。世界各国の学者の間で自分の書いた論文をそれぞれが勝手に無料でウェブに公開し、リンクをツイートする輪が広まっているのだ。
pdftribute.netにアクセスすると、これまでアップロードされた論文のリンク一覧を見ることができる。また、ツイッターでは#pdftributeのハッシュタグをつけて自分の論文をウェブサイトにアップロードする動きが広がっている。
繰り返しになるが、シュワルツ氏の自殺の原因が何だったか、現時点ではその真相はわからない。しかし、学術論文のオープンアクセス化に情熱を傾けた一人の天才ネット活動家が、その死をもって一つのムーブメントを巻き起こしていることだけは間違いなさそうだ。
この他に、元NHKのフランス人アナウンサーが原発事故で避難帰国したことで契約を打ち切られたことを不服として起こしたNHK提訴、アレフの名誉毀損裁判で警視総監に対する請求棄却は妥当だったか、新聞の軽減税率の是非など。