完全版視聴期間 |
2020年01月01日00時00分 (期限はありません) |
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まだ日本でブロードバンド・サービスが始まる前の2001年2月、「インターネットで動画配信など無理」という周囲の反対を押し切る形で放送を開始した「神保・宮台のマル激トーク・オン・ディマンド」が、今日、第999回目の放送を迎えた。
時はまだ自民党の森喜朗政権。正式な番組名も決めずに暗中模索の中、それまで既存メディアの専売特許だった報道という大海原に漕ぎ出した日本初のインターネット報道番組はその後、アメリカの9・11同時テロと対テロ戦争、小泉構造改革、リーマンショック、鳩山民主党政権とオバマ政権の誕生、そして3・11と原発事故、安倍政権とトランプ政権とブレグジット、そして新型コロナへと続くまさに激動の20年を駆け抜けてきた。
毎週1回、20年間、一度たりとも休むことなく何とかここまで続けてこれたのは、既存メディアに限界を覚え、放送免許や記者クラブなどの既得権益に縛られない新しいメディアを志し、広告に依存しないというわれわれの趣旨に賛同していただいた有料会員の方々の支えの賜物以外の何物でもないが、1000回やってもまだまだ当初の目標には遠く及ばない。実感としてはようやく2合目を通過したかどうかというところだろうか。
今回の番組では、松沢哲郎氏(京都大学霊長類研究所教授・第595回 2012年9月8日「チンパンジーが教えてくれた−希望こそ人間の証」)、 矢作直樹氏(東大病院救急部・集中治療部部長・第646回 2013年8月31日「霊魂と肉体: あの世とこの世を分かつもの」)、岸見一郎氏(哲学者・第680回 2014年4月26日「あなたが変われないのは実は変わりたくないから?!」)、 内山節氏(哲学者・第822回 2017年1月7日「座席争いからの離脱のすすめ」などの名場面をあらためて振り返り、それらの番組を通してわれわれ自身が学んだことなどを再度確認した。
また、この番組の出演者の中でその後他界された方については、その名言・金言を追悼集としてVTRにまとめた。そこでは小室直樹氏(政治学者・第212回 2005年4月24日「日本人にはまだ憲法は書けない」)、宇沢弘文 氏(東京大学名誉教授・第515回 2011年2月26日「 TPPは「社会的共通資本」を破壊する」)、土井たか子氏(前社民党党首・第217回 2005年5月25日「憲法第9条は宝の持ち腐れに終わるのか」)、西部邁氏(評論家・ 第307回 2007年2月16日「西部邁流、保守主義のすすめ」、 むのたけじ氏(ジャーナリスト・第514回 2011年2月19日「伝説のジャーナリストの遺言 絶望の中にこそ希望がある」)など文字通り歴史上の巨人が、彼らの遺志を引き継ぐわれわれがこれから何をしなければならなかについて、多くの示唆を与えてくれている。
さらにマル激ならではのテーマとして、安部司氏(添加物アドバイザー・『食品の裏側』著者・第262回 2006年4月7日「それでもあなたは食べますか」、野口勲氏(野口のタネ・野口種苗研究所代表・第589回 2012年7月28日「知らない間にタネが大変な状況になってました」)、藤島大氏(スポーツライター・第960回 2019年8月31日「ラグビーW杯を100倍楽しむために」)、第57回 2002年4月12日「日本の牛乳はなぜまずいのか」など、食やスポーツを扱った回もいくつか振り返った。
1000回という節目にあらためて過去の出演者の方々の発言を聞き直した時、当時われわれが直面していた問題や番組を通じて明らかになった課題がまだ全然クリアできていないことをあらためて痛感せずにはいられない。そこには次の1000回でわれわれが取り組まなければならないテーマが提示されている。
5金で第999回目となる今週のマル激は神保哲生と宮台真司が過去の放送の名場面集とともに当時を振り返りながら、これからの日本と世界とマル激の課題を議論した。