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2019年10月12日公開

日本はキャッシュレス社会に突入する準備はできているのか

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第966回)

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
(終了しました)

ゲスト

消費生活ジャーナリスト

1952年鳥取県生まれ。75年早稲田大学第一文学部卒業。81年同大学院修士課程修了。月刊誌記者を経て90年より現職。2000年、NPO法人「ICカード教育を考える会」を設立し理事長に就任。著書に『「信用力」格差社会―カードでわかるあなたの“経済偏差値”』、『キャッシュレス覇権戦争』など。

著書

概要

 ペイペイ楽天ペイラインペイアップルペイ。皆さんは、何を使われているだろうか。

 10月からの消費税率引き上げに合わせて、政府が消費の冷え込みを防ぐ目的でキャッシュレスポイント還元事業を猛烈にプッシュしていることを受け、様々なキャッシュレス決済サービスが次々と立ち上がっている。

 何せ消費税率が2%上昇しても、クレジットカード電子マネースマホ決済などの「キャッシュレス決済」を使えば、政府が購入額の2%~5%分をポイントで還元してくれるというのだ。5%も戻れば、消費増税前よりも3%の値引きになるし、決済サービス会社が独自に設けているポイント分も加えると、更に還元率が高くなる場合もあるとあって、ここに来てキャシュレスフィーバーがやや狂騒曲の様を呈し始めている。

 政府はキャッシュレス化が進むことで現金取り扱い業務コストの削減や訪日外国人へのサービスの向上、新しいビジネスの可能性などビジネス面でのメリットに加え、徴税の徹底と効率化を目論んでいると見え、今後マイナンバーカードとキャッシュレス決済をリンクした「マイナポイント」の導入なども計画しているが、今のところキャッシュレス決済を導入するユーザー側のお目当ては期間限定のポイント還元に集中しているようだ。

 政府の助成が終了した後、百花繚乱の呈で次々と立ち上がっているキャッシュレス決済サービスのうち、いくつ残っているかは未知数だが、これだけ政府が大々的に旗を振れば、長らくクレジットカード後進国と呼ばれ、主要国の中ではドイツと並んで例外的に現金への強いこだわりを見せてきた日本でも、キャッシュレス決済の普及がある程度進む可能性はある。

 しかし、消費者問題やクレジットカードに詳しい消費生活ジャーナリストの岩田昭男氏は、このまま日本でキャッシュレスが急速に普及することの危険性を指摘する。日本では消費者教育、とりわけクレジットカードやスマホによる決済が、あくまで借金を前提としていることが十分に理解されていないからだ。日本では借金やクレジットカード利用についての消費者教育というものが、ほとんど存在しない。現金で何かを買えば目に見えて現金が減るが、カードやスマホ決済は支払いの負担感を軽減するだけに、気をつけないとカード破産ならぬ、キャッシュレス破産やスマホ破産が多発する怖れがある。

 また、日本にはお年玉やご祝儀など現金を送る独特の文化もある。目先の便利さや手軽さに釣られて、現金文化を簡単に手放してしまって本当に大丈夫なのかも、手遅れになる前に考えておいた方がよさそうだ。

 岩田氏はキャッシュレスを極めれば、そこにはGAFAがすべてを支配するアメリカのような社会や、信用スコアによる信用格差社会への道をひた走る中国のような社会が待っているだろうと指摘する。スマホをかざすだけで支払いが完了するキャッシュレス決済は確かに便利かもしれないが、すべての購買履歴が残り、それがビッグデータの一部となって取り引きの対象となる。また、それは利用者自身の信用スコアとしても記録されることになる。一方、現金は効率も悪くアナログだが、どこにも記録は残らない。どこをどう取っても非効率の塊だが、その非効率さこそが社会を無味乾燥なものに陥らせることの防波堤になっていた面もあるのかもしれない。

 日本はこのままキャッシュレス社会に突入していいのか。日本が現金にこだわり続けたのは、単に日本が遅れていたからなのか。政府がここに来てやたらと熱心に旗を振るキャッシュレス社会のリスクについて、クレジットカードやキャッシュレスサービスに詳しい岩田氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

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