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2015年01月10日公開

日本が日本であり続けるための条件

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第718回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
(終了しました)

ゲスト

慶應義塾大学総合政策学部教授

1962年東京都生まれ。87年東京大学農学部卒業。岩波書店勤務を経て98年東京大学大学院総合文化研究科国際社会学専攻博士課程修了。博士(学術)。慶應義塾大学総合政策学部専任講師、助教授を経て07年より現職。著書に『真剣に話しましょう・小熊英二対談集』、『社会を変えるには』、共著に『この国はどこで間違えたのか・沖縄と福島から見えた日本』など。

著書

概要

 これから日本社会はどうなっていくのか。年始のマル激は、社会学者で慶應義塾大学教授の小熊英二氏を招いて議論した。
 昨年末の総選挙の結果で自公政権が安定多数を得たことで、安倍政権の掲げる諸政策が当面は継続される見通しだ。その中には金融緩和と公共事業を中心とするアベノミクスと呼ばれる経済政策や集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更、秘密保護法制、原発の再稼働などが含まれる。安倍政権はメディアに対する影響力も強めており、一見、現在の権力基盤は盤石であるかに見える。
 しかし、小熊氏は安倍政権は決して強い政権とは言えないと語る。安倍首相は一見、大きな政策変更を成し遂げているように見えて、実際はそれほど大きなことはできていないというのが、その理由だ。
 原発の再稼働にしても、政権として再稼働の方針を明確に打ち出しながら、一基の原発を再稼働するのにも、これだけの時間がかかっている。新しい安全基準や周辺自治体の反対などを考えると、うまくいっても10基以上の原発を再稼働することは難しいだろうと小熊氏は見通す。
 集団的自衛権の行使についても、言葉が先行しているが、内実としては個別的自衛権の範疇に入るものしか実現できそうにない。
 昨年末の選挙でも自民党は全有権者の25%程度の票しか得ていない。有権者の半数近くが棄権をしたことと、選挙制度の特性で公明党と併せて3分の2の議席を確保しているが、その支持基盤は決して盤石とは言えない。
 小熊氏は現在の安倍政権の政策の大半は別の勢力が政権の座についていても、実施されている可能性が高いものだと指摘する。安倍首相は経済政策を前面に打ち出し、金融緩和や公共事業で株価が維持され、つかの間の好況感が続く間に、個人的な野望とも呼ぶべき戦後レジームからの脱却と言われる施策を一つでも実現したいと思っているように見えるが、今の日本では政治が世論と大きく乖離した政策を実現することは所詮難しいだろうと小熊氏は言う。
 むしろ深刻なことは、自民党の支持基盤が既得権益を維持しようとする特定の業界、いうなればオールド・オールジャパンに偏っているため、現在の政策が続く間は日本の衰退が続くことが避けられないことではないかと小熊氏は言う。
 これからの日本社会の生きる道を考える時、われわれの多くは依然として1960年代から80年代の高度経済成長期を基準に考えてしまう傾向があるが、あの時代こそむしろ特殊な時代だったという視座が必要だと小熊氏は指摘する。世界各国の現状を見てきた小熊氏は少子高齢化や人口減少などを念頭に置くと、もはやジャパン・アズ・ナンバーワンの時代の栄華は望むべくもないが、かといって日本の現状は決して悪くないと言う。世界のどの街を見ても、日本以外に住みたいと思えるところはないからだ。
 しかし、治安の良さ、清潔さ、礼儀正しさ、勤勉さといった「日本らしさ」を支えている社会的共通資本も、ここに来て急速に劣化が進んでいる。現在のようなオールド・ジャパンを優先的に擁護する政策を続ける限り、社会の劣化は止まらない。このままそれを放置すれば、治安の悪化や社会インフラの劣化、ひいては集落を維持できなくなった過疎地域から都市へ流れ込んだ大量の人口がスラムを形成するような、途上国でよく見かける光景が早晩日本で起きてもおかしくはない。
 そのような最悪の事態を食い止め、経済的な豊かさはほどほどでも、分厚さを持った社会を作っていくために、われわれは今何をしなければならないのか。変化のきっかけをどこに求めればいいか。ゲストの小熊英二氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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