沖縄をこれ以上追い詰めてはならない
琉球新報編集局次長
1965年沖縄県生まれ。駒沢大学法学部卒業。89年琉球新報社入社。社会部警察・司法担当、政経部基地担当、編集委員、政治部長などを経て、2013年より現職。共著に『ルポ 軍事基地と闘う住民たち』 、『検証 地位協定―日米不平等の源流』など。
沖縄で9月20日、名護市の辺野古沖の米軍基地建設に反対する大規模な集会が開催された。今回、マル激ではこの集会を現地で取材した映像を織り交ぜながら、沖縄出張収録の特別編を2週に渡ってお送りする。
集会では、今年11月に行われる県知事選への立候補を表明した翁長雄志・那覇市長も参加し、「辺野古の海を埋め立てさせてはいけない。絶対に阻止しよう」と、建設に反対の姿勢を明確に表明した。
沖縄の県紙・琉球新報の松元剛編集局次長は、今回の集会について、仲井真県知事が公約に反して埋め立て工事を承認したことで、これまでとかく分裂しがちだった野党陣営がひとつにまとまることができる素地ができたと指摘する。この日の反対集会には民主党から社民党、社会大衆党から共産党まで幅広い勢力が集まった他、保守陣営からも多数の参加があった。
また、反対集会の会場となった辺野古の浜には、県内外から5500人が集結したと報じられている。普段はこの手の集会にはあまり参加しない若い世代や家族連れの参加が目立ったことも、今回、反仲井真=辺野古反対に幅広い勢力が集まりつつあることを反映しているとみて良さそうだ。
このまま11月16日の知事選まで翁長支持で一本化が進めば、安倍政権が既に終わった問題としている辺野古への基地建設に反対の民意が示されることになる可能性が俄然高まる。しかし、他の候補の出馬も取り沙汰されており、最終的に一本化が実現するかどうかについては、不透明な要素も残る。
しかし、もしも翁長氏が知事に選ばれ、辺野古の基地建設を止めることができた場合、そこから沖縄はどこへ向かうのかという、より重要な問題が残る。
松元氏は、沖縄では「基地がなければやっていけない」という先入観が、もはや崩れていると指摘する。基地を受け入れる代わりに振興策という名の支援を政府から受け続けるという沖縄のあり方に疑問を持ち始めている人が増えているというのだ。
きたる知事選は、単に普天間の移設先として辺野古の基地建設を問うにとどまらないかもしれない。沖縄はどのような民意を表すのか。今回の反対集会から見えてきた様々な問題点を、ゲストの松元剛氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。