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2011年05月07日公開

増税なき復興計画のすすめ

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第525回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
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ゲスト

1942年大阪府生まれ。66年東京大学経済学部卒業。73年同大学院経済学研究科博士課程修了。76年〜78年カリフォルニア大学バークレー校客員研究員。83年上智大学教授などを経て、98年より現職。専門は金融・都市経済学。著書に『経済学的思考のすすめ』、『日本銀行は信用できるか』、『デフレと超円高』など。『経済復興—大震災から立ち上がる』を今月発売予定。

著書

概要

 日本が未曾有の大震災から復興するために、どのような、そしてどの程度の規模の復興対策が必要になるのか。
 先の震災は総額にして20兆円を越える被害を、日本経済にもたらしたと推定されているが、学習院大学経済学部の岩田規久男教授は、復興のためには向こう5年間で40〜50兆円規模の政府による復興対策が必要になるとの見通しを示す。
 まずは被災者の食料、医療などの緊急な援助や被災者の住居の確保、瓦礫の撤去や道路、港湾、空港など破損したインフラの修復などの緊急的な復興費予算として10兆円程度が今年度予算で必要となるが、しかし、震災の影響は地震や津波による直接的な破壊に限らないことを岩田氏は重視する。平成11年度の実質GDP成長率は余生予算の効果を織り込んでも-0.9%〜-1.7%に低下する(BNPパリバ証券)ことが予想されている。岩田氏の試算では、これは最大で22.6万人の失業者を新たに生む結果を招くという。
 そのような震災による経済へのマイナス効果を防ぐためにも、まず来年度予算で10兆円の緊急対策を実施した上で、更にその後4年で30〜40兆円規模の復興費の支出が必要になると岩田氏は言うが、問題はそれだけの資金をいかに調達するかだ。
 巷では、震災の復興のためには増税やむなしの論調が目立ってきているように見える。具体的には復興税と称する新たなエネルギー課税や消費税の増税などが提唱されているようだが、岩田氏はこうした増税案を言下に否定する。日本経済や長期のデフレ状態の下にあり、デフレの最中に増税によって内需が減少すれば、一層のデフレになることが避けられない。デフレが呼ぶ円高が輸出産業にも打撃を与えることを考えると、結果的に増税をしても、税収の増加につながらないし、雇用も回復しないというのが、その理由だ。
 しかし、増税なくして50兆円もの財源を確保するためには、国債を発行するしかない。要するに必要な資金を借金で賄おうということだが、言うまでもなく日本の財政赤字は既に危機的な水準に達している事が指摘されて久しい。11年3月末の債務残高は中央政府分だけでも667兆に及び、債務のGDP費も172%と先進国中最高水準に達している。そうした中で日本政府が更に向こう5年間で50兆円もの国債を発行すれば、いよいよ財政破綻のリスクが高まることはないのか。
 岩田氏は震災発生以降、長期国債金利はむしろ低下傾向にあり、これが急騰することは考えられないことを指摘した上で、当面、国債価格が暴落し長期金利が急騰する心配はないと言う。その上で、復興のために発行する40〜50兆円の国債を一般の国民や投資家ではなく、これを全額日銀が引き受ける施策を提案する。こうすることで、市中の資金供給量を増やし、インフレ率を2%程度で安定させることで、日本経済の名目成長率を先進国並みの4%程度に引き上げることができる。その結果税収を拡大させることが、復興財源の捻出方法としては最も合理的だと岩田氏は説く。
 復興計画の実施が急がれる今こそ、かねてから主張してきたインフレターゲット論を実行に移すべきだと主張する岩田氏に、震災からの経済復興のあり方、考え方を、神保哲生と宮台真司が聞いた。

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