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2009年11月28日公開

[シリーズ・民主党政権の課題6]記者クラブ問題の本質

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第451回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
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ゲスト

成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科准教授
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1964年埼玉県生まれ。90年京都大学文学部卒業。00年国際大学大学院国際関係学研究科修士課程修了。毎日新聞社で宮内庁、警視庁などを担当の後、CNN日本語サイト編集長、琉球新報ワシントン駐在記者を経て、08年より現職。著書に『天皇家の財布』、共著に『雅子さま論争』。

概要

 マル激ではこれまで折に触れてきた記者クラブ問題が、民主党政権の下で新たな次元に入ったようだ。

 大手新聞と通信社、テレビ局だけが記者会見に出席する特権を独占し、雑誌、外国報道機関、ネットメディア、フリーランスは徹底的に排除する、日本のマスメディアの閉鎖性や排他性、前時代性の象徴とも言うべき記者クラブの弊害は、今更指摘するまでもないだろう。

 記者会見への特権的・独占的アクセスのみならず、省庁施設内の記者室の無料使用に始まり、光熱費・電話代、アルバイト事務員に至るまで、ありとあらゆる便宜供与を受けることで発生するメディアと政治の癒着。特権を享受する者同士が結ぶ「村の掟」的取材協定や談合取材。発表ものを報じていれば事足りてしまうことからくる、調査報道能力の低下。そして、メディア産業への新規参入企業の排除等々。

 いずれも報道の自由を標榜する日本ではあってはならないものばかりだし、市民社会にとっては百害あって一利もないものばかりでもある。

 しかし、今や世界の笑いものと化しているこの制度を、日本はなぜ未だに解決できないのだろうか。ましてや、記者会見の開放を宣言してきた政党が政権の座についているというのに、である。

 今回のマル激は、元毎日新聞記者で、学究生活に入ってから記者クラブの歴史を研究してきた成城大学文芸学部の森暢平准教授を招き、明治期の帝国議会の出入り記者会や国木田独歩らによる外務省の記者倶楽部に端を発する記者クラブの歴史や背景などを詳しく検証した上で、その構造的な問題を明らかにしてみた。

 森准教授は任意団体であり親睦団体である記者クラブは本来はプライベートなものであるにもかかわらず、取材や記者会見というパブリックな機能まで持つようになったことが、現在の記者クラブ問題の解決を難しくしていると指摘する。要するに、記者クラブは自らが親睦団体であることを理由に、本来ならばオープンであるべき会見の場から非加盟のメディアを閉め出す一方で、プライベートな団体の懇談に過ぎないはずの閣僚や官僚との会合を「記者会見」と呼ぶことで、パブリックな機能を担わせてきたわけだ。その「プライベート」と「パブリック」の混同やご都合主義的使い分けが、今日の記者クラブ問題、引いては記者会見の開放問題の解決を困難にしているというのだ。

 森氏は、当事者意識も改革能力もない記者クラブは官僚組織と同じであり、すでに多くの人に守旧派と見なされているという。情報公開や説明責任が求められる時代において、記者クラブという自らの問題を報じないまま、自分たちを国民の代表と思い込むマスメディアへの信頼は失われつつある。早晩、そうした大文字のジャーナリズムは凋落し、大手メディアも中小メディアや市民メディアも等価なものとして受容されていくようになると森氏は言う。

 しかし、改革できない大手メディアが凋落していくのは大手メディアの勝手だが、それに伴い、これまでわれわれの先人達が長い年月をかけて培ってきたジャーナリズムのノウハウ、とりわけ権力をチェックするノウハウがメディアから消滅してしまう問題は、簡単に看過できないようにも思える。

 しかし、森氏はその問題に対しても、もはや権力監視の機能も、マスメディアの専売特許ではなく、ジャーナリストの他にも、弁護士やNPOなど幅広い市民社会の参加によって、権力は監視されていくことになるべきだと説く。つまり、森氏は、記者会見は「報道を生業とする者」のみならず、誰でも自由に参加できるものにすべきだと主張するのだ。

 シリーズでお届けしている「民主党政権の課題」の6回目となる今回は、マル激本編としては初となる記者クラブ問題を取り上げた。

New Leaders in Japan Seek to End Cozy Ties to Press Clubs

(The New York Times)

 

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