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2009年04月04日公開

金融危機の本質は金融腐敗にあり

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第417回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
(終了しました)

ゲスト

1943年東京都生まれ。66年早稲田大学理工学部卒業。81年『東京に原発を!』出版。著書に『アメリカの経済支配者たち』、『世界金融戦争』など。09年4月中旬に『資本主義崩壊の首謀者たち』を刊行予定。

著書

司会

概要

 約5兆ドルの財政出動にヘッジファンドとタックスヘイブンの規制の導入等々。4月1日、2日の両日ロンドンで開催された第2回金融サミットで日米欧に新興国を加えた世界20カ国・地域の首脳は、経済危機の拡大を食い止めるために、金融取引に対する踏み込んだ規制を導入することで合意したという。
 金融危機の収束に向けて世界各国が足並みを揃えて動き出したことを好感して、金曜日の各国の株式市場は軒並み続伸、ドルも対円で5ヶ月ぶりに100円台を回復した。
 しかし、『危険な話』の著者で長年世界の金融界の人脈を調査してきた作家の広瀬隆氏は、そのような弥縫策では金融危機の根を絶つことはできないと言い切る。なぜならば、広瀬氏は、今世界を覆っている金融問題の本質は「金融腐敗」にあると確信しているからに他ならない。
 広瀬氏は、現在の金融危機の起源を1970年代の先物取引の解禁に見い出す。先物という実体の無い指標の取引を認めたことで、次々と新たなデリバティブ(金融派生商品)が登場し、実体経済の規模を遙かに上回るマネー経済なる虚構が形成された。そして、それは挙げ句の果てに、昨今問題となっているサブプライムローンの証券化やCDSなどといった投機マネーの暴走を生み出した。
 そして広瀬氏は、先物取引に先鞭をつけたロバート・ルービン元財務長官やその後継者のローレンス・サマーズ氏、そして金融緩和を続けて投機マネーを生んだアラン・グリーンスパン元FRB議長の責任をことさらに強調する。
 特にルービン氏は、シカゴ先物取引市場の理事として先物市場を開拓した後、ゴールドマン・サックス証券で自ら数々のデリバティブ取引に勤しみ、ゴールドマン・サックスの会長まで上り詰めた後、クリントン政権で財務長官の座に就き、グリーンスパンFRB議長との二人三脚で、金融近代化法の制定を実現した。
 この法律によって、大恐慌以来銀行と証券の兼業を禁止してきたグラス・スティーガル法が事実上骨抜きとなり、本来は手堅い資金だったはずの銀行預金が、大挙して投機マネー市場に投入されるようになる。更にルービン氏は、サマーズ氏に長官の座を譲った後、今まさに大量の公的資金が投入され続けているシティグルーブの重役に収まり、そこで「サブプライムローンを売りまくった」(広瀬氏)、現在の金融腐敗の原因のすべてに関わっている存在だと、広瀬氏は言う。しかも、その後アメリカの財務長官の座は、同じくゴールドマン・サックスの会長だったヘンリー・ポールソン氏に引き継がれていった。
 このような腐敗の連鎖を放置している限り、少々ヘッジファンドを規制しても、焼け石に水程度の効果しかないというのが、広瀬氏の一貫した主張だ。
 一方、市民の期待を一手に背負い政権の座についたオバマ大統領は、金融腐敗を正常化することができるのかとの問いに対して広瀬氏は、サマーズ氏がオバマ政権の枢要な経済閣僚(国家経済会議委員長)の座に収まっている上、ガイトナー財務長官も、実はブラックストーン・グループ創始者でレーガン政権の商務長官だったピーター・ピーターソン氏の後ろ盾でニューヨーク連銀総裁に引き上げられた経緯があり、そのような経済人事のオバマ政権では、長年にわたり蓄積した金融腐敗を一掃することはとても難しいのではないかと広瀬氏は言う。
 そして、この金融腐敗が根絶されないかぎり、危機のたびに多少の規制強化などが行われても、投機マネーは必ずやまた行き場を見つけてバブルを形成し、そしてまた金融秩序維持という美名のもとで、一般市民の血税が「金融マフィア」(広瀬氏)によって作られた腐敗の穴を埋めるために注ぎ込まれていくことになるだろうと広瀬氏は言うのだ。
 歴史と人脈を紐解くことで見えてくる金融危機のもう一つの顔を、萱野稔人、神保哲生が、広瀬氏と議論した。

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