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2008年04月13日公開

言論の自由を宝の持ち腐れにしないために

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第367回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
(終了しました)

ゲスト

1943年福島県生まれ。67年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。70年早稲田大学大学院政治学専攻修士課程中退。同年産経新聞入社。73年退社、同年一水会を創設し会長に就任。99年会長を退任し、顧問に就任。著書に『失敗の愛国心』、『愛国者の座標軸』、『愛国者は信用できるか』など。

著書

1956年広島県生まれ。80年立教大学法学部卒業。86年よりテレビ番組制作会社『テレコムジャパン』(現テレコムスタッフ)に入社。ドキュメンタリーや報道番組を手がける。96年独立。98年『A』を発表。2001年『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。著書に『放送禁止歌』、『死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う』、『視点をずらす思考術』など。

著書

司会

概要

どうも、言論がおかしい。ちょっとした脅しや訴訟で口をつぐんでしまい、必要以上に自主規制をしているうちに、気がつけば、言いたいことが言えない空気が醸成されているのではないか。
 映画『靖国』の上映中止、プリンスホテルによる日教組集会への使用拒否、ジャーナリストに対する相次ぐ高額訴訟、立川の反戦ビラ配りに対する有罪判決等々、立て続けに起きる言論をめぐる異常な事態は何を意味しているのか。
 映画『靖国』の上映中止は、週刊新潮に掲載された「反日映画に国の助成金750万円」の記事を読んだ国会議員が試写を求めたことで、映画館が上映を中止し始めた。そして、1台の右翼街宣車が映画館に乗りつけて抗議したところ、次々と上映中止を申し出る映画館が増え、とうとう4月12日予定の封切自体が中止されるに至った。
 新右翼一水会の設立者でもある鈴木邦男氏は、『靖国』は単なる反日映画ではないと語り、右翼としては確かに抗議したいシーンもあるが、「とにかく公開して、見た上で抗議をするべきだった」と語る。また、右翼が街宣車を使うのは、日本に右翼側からの問題提起を議論する場が無いためだと説明する。オープンな議論ができていれば、公開中止のような事態は避けられたかもしれない。
 一方、この問題について映画配給会社から相談を受けていたと明かすドキュメンタリー作家の森達也氏は、靖国神社というデリケートな素材を扱った映画だけに、配給側にはある程度の覚悟ができていたはずなのに、この程度の右翼の抗議だけで、白旗を上げてしまったことに驚きを隠せないと語る。
 また、メディア界や表現者が「言論の自由を守れ」と抗議の声を上げても、世間の反応がいたって鈍い現状について森氏は、戦後言論の自由を支えていた社会の劣化が進んだ結果、言論への攻撃に対して社会がとても脆くなっており、それは10年前に森氏がオウム真理教を内側から描いた『A』を公開した段階で、既に顕著になっていたと指摘する。そのような“空気”の中で、上映中止を決めた映画館の選択だけを責められないというのが、森氏の立場だ。
 しかし、言論を押さえたい側の手法が、非常に高度化していることも見逃せない。街宣車による脅しのような伝統的な手法に加え、助成金の正当性を問うて試写を要求してみたり、愛国や反日をネタに世論に訴えたり、高額訴訟で表現者自身の萎縮の動きを封じたかと思えば、出版社や所属団体を訴えることで、言論機関を萎縮させ表現者から表現の場を奪うような手法に訴えるなど、明らかに言論を押さえる方法も洗練されてきている。
 そうした状況の下で、それに真っ向から立ち向かわなければならないはずの表現者や言論機関、メディアがいとも簡単に自主規制をしているうちに、気がつけば日本の「言論の自由」は危機的な状況に陥っているのではないだろうか。

また、志ある言論機関が戦う意思を見せても、必ずしも市場の支持が得られないという現実もある。その手の硬派な企画では、売り上げや視聴率アップは望めないため、メディアにとっても言論のために戦う動機付けは、急速に減退しているのが実情のようだ。
 しかし、表現の自由が、民主政治の最も基本的な要件であることに、疑いの余地はない。私たちの先人たちが身を挺して守ってきたその至宝を、このような漠たる「空気」の中で、どぶに捨ててしまっていいはずがない。
 言論をめぐるこの現状をどう考え、この状況にどう対応すべきかを、近著『心が支配される日』でも言論問題に切り込んでいるジャーナリスト斎藤貴男の司会のもと、映画監督の森達也氏と新右翼の開祖鈴木邦男氏に、戦後の言論の自由が、宝の持ち腐れとならないために考えるべきことを、徹底的に議論してもらった。

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