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2007年09月06日公開

サブプライムローン危機の本質

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第336回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
(終了しました)

ゲスト

1967年千葉県生まれ。92年東京大学経済学部卒業。同年大蔵省入省。99年退職。01年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。一橋経済研究所専任講師を経て、03年より現職。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。著書に『ネット株の心理学』など。

著書

概要

 8月9日、米のサブプライムローンと呼ばれる住宅ローンの焦げ付きが原因で、世界の金融市場は大混乱に陥った。米欧の中央銀行の迅速な対応で、とりあえず市場は小康状態を保っているかに見える。しかし、長らくアメリカの景気を引っ張ってきた住宅需要の低迷は、これからが本番との観測は根強く、まだ危機は去っていないとの見方が有力だ。

 それにしても米国で住宅ローンが焦げ付くと、なぜ世界中の市場が暴落するのか。この問いに対して、多くの専門家がさまざまな解説をしているが、その多くは、こんな具合だ。米国景気を牽引してきた住宅需要が、翳りを見せ始めている。一方、金融の自由化が進み、あらゆるものが金融商品化されるようになった今日、米国の住宅ローンの債権さえもが、商品化されて金融商品として売買されるようになっていた。サブプライムローンはもともと優良(プライム)以下(サブ)の、信用に問題のある借り手への住宅ローンだが、その債権を証券化してファンドに売ることで、ローンの貸し手である金融機関はリスクを回避でき、一方、買い手のヘッジファンドなどは、そのリスクを引き受けることで投資機会を得ることが可能になった。しかし、証券化によってリスクがあまりにも小分けに分散されたために、どの金融商品に問題のあるサブプライムローン債権が含まれているかが見えにくくなり、いくつかのサブプライムローン会社が破綻したというニュースが伝わると、市場全体が疑心暗鬼に陥って大混乱を引き落とした、と。

 しかし慶應大学の小幡氏は、こうした見方に疑問を呈し、いわゆるサブプライムローン問題は特に目新しいものではなく、米国の住宅バブルの崩壊に伴う混乱に過ぎないと説く。リスクの高い住宅ローンとして知られるサブプライムローンが証券化され、多くの金融商品に組み込まれていることを、投資家たちは最初から知っていたはずだし、サブプライムローンは貸し倒れのリスクが高い債権であることも知っていたはずだ。また、それがアメリカの住宅バブルのおかげで、これまで辛うじてもっていたが、そのリスクが顕在化するのは時間の問題だったことも、投資家は知っていたはずだと言うのだ。つまり、いろいろと後付けで分析するのは結構だが、つまるところサブプライムローン問題とは、わかっていてみんなが乗っかっていたバブルが弾けて、われ先に飛び降りる人たちで市場が大混乱しているだけの、おなじみの光景に他ならないというのが、小幡氏の見立てだ。

 投資家は常にバブルを待望し、バブルが起きると我先にとそれに乗っかり、そしてバブルが弾けそうだと見ると先を争ってそれから飛び降りようとする。人類はこれまでもそんな行動パターンを繰り返してきたし、それはこれからも変わらないだろうと小幡氏は言う。サブプライム問題の本質は金融商品の発達や証券化の問題などではなく、むしろ金融商品の発達で、米国の住宅バブルが世界中に輸出され、それが今にも弾けようとしている、ということになる。

 行動ファイナンスが専門の気鋭の経済学者小幡氏とともに、なぜリスク回避のための証券化がかえってリスクを増幅させるのか、なぜ人はバブルを求めてしまうのかなど、ここまで金融が発達した今日でも変わらない市場の本質を議論した。

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