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2007年08月03日公開

データから見えてくる「やっぱり自民党は終わっていた」

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第331回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
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ゲスト

1971年広島県生まれ。1994年岐阜大学教育学部卒、2000年筑波大学大学院国際政治経済学研究科修了。博士(国際政治経済学)。00年京都女子大学現代社会学部専任講師を経て、03年より現職に。専門は政治過程論・政治行動論。著書には『日本社会党の研究 路線転換の政治過程』。共著として『現代日本の市民社会・利益団体』。9月に水崎節文と共著で『総選挙の得票分析』を出版予定。

著書

概要

 自民党の参院選地すべり的敗北で、安倍首相の責任を問う声が強まっている。小泉構造改革の影響で、自民党の伝統的地盤だった地方・農村・利益団体票が離反する一方で、安倍政権が年金や相次ぐスキャンダルのハンドリングに失敗したことで、小泉時代に新たに獲得した都市無党派層からは見放されたことが、今回のような歴史的大敗を招いたというのが、大方の評価となっているようだ。
 しかし、計量政治学が専門の森裕城同志社大学准教授は、選挙データを分析すると、その説明は半分しか当たっていない可能性が高いという。
 確かに今回の選挙では、05年の郵政選挙で小泉自民党を支持した都市無党派層票の大半が民主党に流れた。そのことは、首都圏、愛知、大阪などの3・5人区で自民党が辛うじて一議席を死守しているのに対し、民主党は軒並み複数議席を獲得していることを見ても明らかだ。
 しかし、地方・農村票などの自民党の伝統的支持層が、小泉構造改革の影響で自民党から離反したとの説明に対して森氏は、自民党の支持基盤の崩壊は既に小渕・森政権時代から継続的に起きている現象であり、小泉政権の5年間は首相の個人人気によってそれが覆い隠されていたが、今回それが改めて表面化したに過ぎないと説明する。
 実際、今回の選挙で自民党の絶対得票率(有権者数に対する得票数の割合)は、獲得議席が49だった04年の参院選の19.21%と比べても1.4ポイントしか下がっていない。伝統的自民支持層に長期減少傾向があることは否定できないが、特に今回の選挙でそれが一気に加速したとの事実は、データを見る限りはうかがえない。
 今回の選挙で地方・農村票の自民党離れの象徴のように言われている一人区を見ても、自民党の獲得議席は29選挙区のうち6議席にとどまるが、得票率では17議席を得た民主党の8割強を得ている。テクニカルな理由から議席配分には大きな開きが生じたが、得票率を見る限りは、自民と民主にそれほどの大差は無い。
 しかし、得票率データは同時に、自民党がかつてのような手厚い支持基盤に支えられていた時代はもはや遠い昔の話となり、今日は民主党以上に「風頼み」の政党に変質していることもあらわにしている。それはまた、民主党が意外なまでに自らの地盤を確実なものにしている事実も明らかにする。少なくともデータ上は「浮動票頼みの自民党、都市でも農村でも安定的な支持基盤を築きつつある民主党」という、両党の意外な顔が見えてくると森氏は語る。
 データをもとに選挙結果を解説する気鋭の計量政治学者・森裕城氏とともに、参議院選の結果から見えてきた自民党の現状と、参院選勝利で政局の主導権を握ったかに見える民主党の課題を考えた。

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