エネルギー基本計画案は自民党の選挙公約を満たしているか 河野太郎衆院議員に聞く
衆議院議員
1963年神奈川県生まれ。85年ジョージタウン大学国際学部卒業。富士ゼロックス、日本端子勤務を経て96年衆院初当選(自民党)。02年総務大臣政務官、05年法務副大臣、08年衆院外務委員長などを歴任。現在、自民党無駄撲滅プロジェクトチーム座長。当選6回(神奈川15区)。著書に『原発と日本はこうなる』、共著に『共謀者たち 政治家と新聞記者を繋ぐ暗黒回廊』など。
本番組にも何度か登場している自民党の河野太郎氏が、自民党の総裁選に出馬を表明した。一般的には「政治家としての将来への布石」くらいにしか思われていないようで、メディアもほとんどまともに取り合っていないようだが、どうしてどうして、本人は年金の抜本改革を前面に押し出して、本気で勝つつもりでいるという。「自分以外の総裁では自民党はダメになる」とまで公言して憚らない。
実際、年金問題が自民党総裁選の争点にならないことの方がおかしい。年金は既に待ったなしの状態にあり、このままでは国民年金も厚生年金も破綻は目に見えている。見せかけの徴収率をあげるために各地の社会保険庁が不正を働いていたことが問題になっているが、もはや年金は国民の信用を根本から失っているのだ。これは日本という国の社会保障制度の根幹が揺らいでいるということだ。
その年金の抜本改革を43歳の河野氏が打ち出したことの意味は大きい。なぜならば、43歳近辺が、年金の矛盾が集中する年齢となるからだ。現在44歳の人が普通に年金を支払い平均寿命まで生きた場合、その人が受け取る年金の総額が初めて実際の支払額を下回るとされている。つまり、年金問題は明らかに世代間の利害が衝突する問題なのだ。
他にも財政問題や環境問題などで世代間の利害が衝突する。将来の健全な財政や環境を守るために、今痛みを伴う政策を実施することを、例えば50歳より上の世代が率先して受け入れる可能性は低い。その世代はその世代で、これまで十分に社会に貢献してきたのだから、自分たちはその恩恵に浴する一定の権利があるはずだと考えるからだ。
河野氏は基礎年金の完全消費税化と、厚生年金の積み立て方式化を提唱する。そうすることで、現在の未納問題も少子高齢化による負担増の問題も一挙に解決できるという。無論そのためには一定の財政措置が必要になる上、最低でも8%程度までの消費税率の引き上げが避けられないことになる。賛否両論を呼ぶことになるだろう。しかし、河野氏が提唱する処方箋以外に、年金問題を根本から解決する手段が無いことも事実なのだ。
しかし、年長の政治家たちが積極的に語りたがらない年金問題の本質を、43歳の河野氏が真正面から自民党総裁選の争点にぶつけてきたことの意味は大きい。メディアがどこまでこれをまともに扱うかにもよるが、これを機に年金問題がこの国が現在抱える最大の問題の一つであることも徐々に再認識されてくるだろう。
河野氏に、年金問題の他、河野政権における内政、外交政策などの展望を聞いた。