違憲のハンセン病療養所「特別法廷」判決が揺るがす死刑制度の正当性
弁護士、菊池事件弁護団共同代表
耐震強度偽装問題は、ここにきて姉歯建築士が構造計算をした建物以外にも偽装が及んでいた可能性が取り沙汰され、問題は更に広がる様相を呈している。地震国の日本にとって耐震偽装問題は、住まいの安全性の根本を揺るがる問題だけに、その深刻さはとどまるところを知らない。
しかし、一級建築士として50年以上の経験を誇る多田氏は、そもそも建物の地震に対する強度を耐震強度という画一的な尺度で測ること自体に無理があったと主張する。地震が建物に与える影響は複雑であり、また、そのようないい加減な基準に正当性を与えている建築基準法そのものに問題があると言うのだ。
建物の真の耐震性などというものは、実際に地震が起きてみなければ分からない性格を多分に含んでいる。にもかかわらず行政は、建築基準法に基づく全国一律な基準を課すことで、その権限を膨張させてきた。今回の偽装問題は、耐震強度という概念の限界を露呈すると同時に、行政にそれを担保する基本的な能力が欠けていることを明らかにしたと、多田氏は指摘する。
しかし、もしそうだとすると建物の安全性はどのように担保されるべきものなのか。我々はどうすれば安全な家を見分けることができるのか。耐震に代わる基準は無いのか。日本きっての免震の権威でもある多田氏とともに、耐震偽装問題の本質について考えた。