違憲のハンセン病療養所「特別法廷」判決が揺るがす死刑制度の正当性
弁護士、菊池事件弁護団共同代表
きたる総選挙では郵政民営化論争や刺客作戦などの話題に埋没し、日の目を見ていない重大な争点が多くある。例えばその一つが、自衛隊の海外派遣の是非だ。
派遣当時大論争となったイラクへの自衛隊派遣については、少なくともメディア上では選挙の争点にすらなっていない。しかし、これは日本という国の未来にとって決定的に重要な問題となるはずだ。
自衛隊や日本の防衛、そして憲法9条のあり方を考える上で、ぜに参考にしたい国が中米にある。日本と同じく軍事力の放棄を明記した憲法を持ちながら、過去半世紀にわたり日本とはまったく正反対の道を歩んできたコスタリカだ。
コスタリカは1948年に実際に軍隊を全面的に放棄した上で、そこで浮いた予算を国内の教育、福祉、環境などに振り向けることで、先進国並の福祉と教育水準を誇る。また、平和教育に注力し、政治の透明性も日本を遙かに上回る冠たる民主主義を 確立している。そうした自信に裏付けられた外交力によって、地域紛争などでもたびたび重要な仲裁役を務めてきた。
長年コスタリアを取材してきた朝日新聞記者の伊藤千尋氏は、「コスタリカは軍隊が廃止する一方で、民主主義国家として他国から尊敬されるような国を築いてきた。そのため、もはやあの平和国家コスタリカを侵略することなどあり得ない。それがコスタリカの最大の安全保障になっている」と説明する。
なぜ同じ平和憲法を持ちながら、日本は世界有数の軍隊を持ち、その役割を更に拡大しようとしているのか。なぜコスタリカにできることが日本にはできないのか。郵政選挙の騒音喧しい中、伊藤氏とともにコスタリカという国のあり方を通じて、日本の針路について、根本的なところから問い直してみた。