政治家の暗殺と改革への萎縮効果
マル激 (第85回)
ゲスト信田智人
国際大学助教授)
国際大学助教授)
小泉政権では外務大臣が2人いると言われてきた。表の川口外務大臣とは別に、官邸の福田官房長官が実質的に外務大臣を凌ぐ外交権限を持っていたからだ。しかし、福田官房長官が去ったあとも、官邸主導の外交は続いている。
近著「官邸外交」の著者で国際大学の信田智人助教授は、外交権限が外務省から官邸へと移ったのは橋本行革で内閣機能が大幅に強化された結果だと説明する。これまでの首相も、権限を行使しようと思えばできたが、小泉首相までは調整型の総理が続いたために、内閣官房の真の力が発揮されていなかったというわけだ。また、信田氏は古川副官房長官が他省庁の次官を凌駕する威信を持っていたことが、小泉政権の官邸外交には欠かせない要素であるとも指摘する。
イラク戦争への一早い支持表明や自衛隊派遣など、高度な政治判断を伴う外交を迅速に行うことを可能にしたのは、官邸外交の成果だと言われる。しかし、その一方で官邸外交は日本の外交が総理大臣個人の政治的立場に過度に影響される危険性もある。靖国参拝や米国産牛肉の輸入再開問題ではそのリスクが顕在化したと見ることもできる。
今回は官邸外交のメリットとリスクを信田氏とともに考えてみた。
他、3週間ぶりに帰国した神保氏によるアメリカ狂牛病最新情報など。