「年収の壁」と「働き控え」を克服するためのベストな方法とは
大和総研主任研究員
持ち運びができる便利さなどから、ペットボトル飲料の消費量が急増している。ペット樹脂の生産量は過去10年間で約3倍に達し、今やお茶やミネラルウォーターの8割がペットボトル容器で売られている。さらにアサヒビールがペットボトル入りのビールを年内に販売すると発表するなど、ペットボトルの広がりはとどまるところを知らない。今や私たちの生活はペットボトル無しでは成り立たないといっても過言ではないところまで来ているかに見える。
しかし、実はペットボトルの環境負荷は意外なほど高い。リサイクルが容易であるかのような印象のあるペットボトルではあるが、実際は紙容器やアルミ、スチール、瓶よりも環境への影響が大きい。その上、ペットボトルからペットボトルを作るリサイクル技術実は今年から実用化が始まったばかりで、回収されたペットボトルの大半は包装用シートとして1度再利用されるだけで、ゴミになっているというのが実情だ。
ペットボトルの環境負荷を試算した安井氏は、「あれはリサイクルではなくニサイクル(2サイクル)」と言い、社会がその環境負荷を十分に知らされないままペットボトルが爆発的に普及している実態に警鐘を鳴らす。
また、ペットボトルのリサイクルのために多額の税金が使われていることについても、その妥当性には受益者負担という観点から疑問が残る。
環境負荷を無視したまま倍増していくペットボトルを、私たちは黙って見ているだけでいいのか。ペットボトルの環境負荷に対するコストやリサイクルコストはそもそも誰が負担すべきものなのか。容器包装リサイクル法制定から10年目の見直し作業始まった今、真のリサイクル社会を築くためには何が必要なのかを、ペットボトルから考えた。