武器輸出解禁で日本が失うものとは
桜美林大学リベラルアーツ学群教授・国際政治学者
1951年鳥取県生まれ。75年早稲田大学政治経済学部卒業。会社勤務を経て81年早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。同年防衛庁防衛研修所入所。スタンフォード大学フーバー研究所客員研究員、ハーバード大学国際問題研究所客員研究員などを経て96年退官。同年桜美林大学国際学部助教授、2001年同教授。08年より現職。著書に『13歳からのテロ問題』、『入門・リアリズム平和学』、『戦争の読みかた』など。
イラクで拘束されていた3人の日本人が無事解放された。しかし、この1週間、人質事件をめぐり日本は大きく揺れた。
まず、今回の人質事件を目の当たりにして、特に政治の世界で「テロリストに屈してはならない」とのレトリックが多く聞かれた。しかし、そもそも今回の人質事件はテロなのか。テロの定義とは一体何なのか。仮にこれがテロでないとすれば、対応の仕方は変わってくるのか。テロの歴史に詳しい桜美林大学の加藤朗教授に聞いた。
また、今回の事件では、自己責任が論争の焦点となった。政府が退避勧告を出しているイラクに自らの意思で入り、結果的に被害にあった彼らは自業自得ではないかという議論だ。しかし、自らの意思でとは言うが、その目的が人道支援や報道でも、自業自得と言い切れるのか。その扱いは商用や観光、娯楽が目的の場合と同じでいいのか。そもそも、ややもすれば独り歩きの感がある自己責任という概念は、どこから来たもので、何を意味しているのか。政府首脳らによる、彼らの行動を「迷惑がる」発言は、適当と言えるのか。人質事件が露わにした様々な課題を徹底検証した。