2024年08月31日公開

5金スペシャル映画特集

映画が描く「つまらない社会」とその処方箋、そしてつまらなそうな自民党総裁選が問うもの

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1221回)

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概要

 月の5回目の金曜日に特別企画を無料放送でお届けする5金スペシャル。今回は久しぶりに映画特集をお送りする。

 今回取り上げた映画ドラマは「地面師たち」(大根仁監督)、「Chime」(黒沢清監督)、「マミー」(二村真弘監督)、「無言歌」(ふるいちやすし監督)、「転校生」(金井純一監督)、「そうして私たちはプールに金魚を、」(長久允監督)の6作品。いずれも社会のつまらなさや異常さ、理不尽さが隠れたテーマになっている作品だ。

 「地面師たち」は土地をめぐる実在する詐欺事件をモデルにした小説を原作としたネットフリックスのドラマシリーズで、われわれがいかに土地所有という概念に取り憑かれ、振り回されているかを物語る作品だ。昨今の都内で所狭しと高層ビルの乱開発が進む背景が垣間見えるところも興味深い。

 「Chime」は、何の変哲もない日常を送っていた料理教室の講師が、不審な行動を取る生徒との出会いをきっかけに、日常のつまらなさを痛感させられるとともに、非日常の危ない世界へと誘われていく様が描かれている。

 「マミー」はこの番組でも繰り返し取り上げてきた和歌山カレー事件を扱ったドキュメンタリー作品で、警察検察メディアをはじめとする社会の総意が働いた結果、無罪の可能性が非常に高い林眞須美氏が犯人に仕立て上げられていった経緯が検証されている。警察に検察、メディア、そして裁判所などそれぞれが自分の立場からは合理的と思われる行動を取った結果、明らかに不合理な結論に達してしまう合成の誤謬が巧みに描かれている。

 「無言歌」、「転校生」、「そうして私たちはプールに金魚を、」の3作品はいずれも女子中学生や女子高生が主人公の短編映画で、つまらない社会から抜け出したいと願う若者たちの希望や絶望が描かれている。

 どの作品も現実の社会のつまらなさが描かれているとともに、社会をつまらなくしている原因やそこから抜け出すための処方箋のヒントが鏤められているようにも見える。

 なお、番組の冒頭では、現在の政局を「長老支配」と「安倍(清和会)政治」を終わらせようとする岸田首相の目論見という視点から、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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