マグロを食べ続けたければ資源量の正確な把握が不可欠
一般社団法人オーシャン・ガバナンス研究所総括研究主幹/代表理事
1969年大阪府生まれ。93年神戸大学法学部卒業。2003年同大学大学院国際協力研究科博士後期課程修了。東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構リサーチ・アドミニストレータなどを経て、13年より法政大学大原社会問題研究所客員研究員、14年より早稲田大学日米研究機構(15年より地域・地域間研究機構に改組)客員講師を兼務。共著に『クジラコンプレックス 捕鯨裁判の勝者はだれか』など。
1959年東京都生まれ。83年東京大学文学部卒業。同年共同通信社入社。科学部記者、ワシントン特派員などを経て08年より現職。論説委員を兼務。著書に『ウナギ』、『生物多様性とは何か』など。
高級マグロの代名詞と言ってもいい太平洋クロマグロ。絶滅危惧種に指定されるまで資源量は減っているが、日本では相変わらず回転寿司などで気軽にマグロを食べることができるなど、その消費は衰えを見せていない。
ところが今、国際社会では資源量が激減する太平洋クロマグロを大量に消費している日本への風当りが日に日に強まっている。
太平洋クロマグロと同様、一時は資源量が激減した大西洋クロマグロは、きちんとした資源管理によって資源レベルの劇的な回復に成功しているのに対し、太平洋では最大消費国の日本が資源管理に後ろ向きなために、資源量の回復が遅れ、今やマグロの資源量は初期資源(漁業が本格化する前)の2%台まで落ち込んでいる。
日本がこのまま資源管理に消極的な姿勢を続ければ、国際的な批判が強まるばかりか、強制的な禁漁に追い込まれる可能性すら否定できないほど状況は厳しい。しかし、日本は政府内にも、また消費者の間にも、危機感がほとんど感じられない。
なぜ日本ばかりが責められるのか。マグロ資源は本当に危ういのか。マグロの今と今後の見通しを、マグロをめぐる国際交渉をウオッチしてきた真田康弘氏に環境ジャーナリストの井田徹治が聞いた。