日本は次の感染症への備えはできているか
弁護士
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1966年東京都生まれ。91年東京大学医学部医学科卒業。同年、医師免許取得。99年米国ハーバード大学博士号取得(公衆衛生学)。WHOシニア・サイエンティスト、コーディネーター(評価・保健情報システム/保健統計・エビデンス担当)、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授などを経て2019年より現職。WHO事務局長上級顧問を兼務。
日本は緊急事態宣言発令後最初の週末を迎える。
既にCOVID-19が蔓延し多くの感染者や死者を出している一部の欧米諸国では、ロックダウン(都市封鎖)など踏み込んだ感染拡大防止措置が取られているが、やや遅ればせながら日本も正式に一般市民の行動制限に乗り出した形となる。
公衆衛生が専門でWHOのテドロス事務局長のアドバイザーも務める英国キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷健司教授は、日本が緊急事態宣言に踏み出すのが「1週間遅かったと思う」と残念がる。既に急ピッチで感染が拡大している疑いが濃厚になってから、踏み込んだ行動制限に移行するまでのスピードが遅れたことで、感染の拡大がさらに進んだ可能性が否定できないとの見方だ。当然それだけ今後の感染拡大の抑え込みには困難が伴うことになる。
渋谷氏は日本がこれまでとり続けてきた、検査対象を重症者に絞る一方で、北大の西浦博教授の数理理論に基づき、クラスターを特定しそれを抑え込む対策に力を集中させるコロナ対策が、当初はうまく回っていたと、これを評価する。しかし、特に東京などの都市部で感染ルートが特定できない感染者が増えた以上、次の対策が必要になっているとして、緊急事態宣言に基づく行動制限に加え、まずは徹底した検査と隔離を進めることが、次のステップとしては不可欠になっていると語る。
現在の日本の状況と今後の取るべき対策について、ロンドンの渋谷氏にジャーナリストの迫田朋子と神保哲生が聞いた。