公益通報者を逮捕し報道機関にまでガサ入れをする鹿児島県警をどう裁くべきか
ジャーナリスト
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1978年東京都生まれ。2001年中央大学商学部卒業。同年、株式会社キーエンス入社。03年退社。07年司法試験合格。桜丘法律事務所、宮古ひまわり基金法律事務所などを経て、16年南山法律事務所を設立。
新型コロナウイルスの感染の広がりを受けて安倍首相は4月7日、緊急事態宣言を発令した。これにより、対象となる7つの都道府県では知事に緊急事態対策を策定し、市民や事業者に対してさまざまな措置を要請する権限が生じる。これまで法的根拠のないまま行われてきた様々な自粛要請に、ようやく一つの法的根拠が与えられることになる。
とは言え、コロナ特措法の建て付け上、緊急事態宣言に基づく諸対策も基本的にはこれまでと同じ要請ベースであり、強制力を持つものとはならない。いくつかの業界に対しては、要請よりもやや強い表現で協力が求められているが、基本的には罰則の伴う強制力はない。
しかし、それが要請ベースであり、要請に伴う補償措置も明確になっていないことから、時間が経過し自粛疲れなどが出てくると、要請に従わない事業者や個人が増えてくることが十分に考えられる。そうなれば、感染拡大を抑え込むための措置の実効性が失われかねない。
SNS上などで新型コロナ特措法による私権制限の濫用リスクに警鐘を鳴らしてきた弁護士の小口幸人氏は、あくまで自粛と言っておきながら、要請に従わない事業者や個人に対して警察が職務質問などを行うことで事実上の強制が行われた場合、それは法に基づかない強制となるため歯止めがなく、むしろその方が危険だと指摘する。警察による職質だけでも一般の市民には大きな圧力になるが、例えば今回東京都が作成した緊急事態措置の行動計画の中に警察の役割として「広報、啓発を図る」などの文言が明記されており、その条文に基づき、実質的な強制や取り締まりが行われる可能性が十分にあると小口氏は警鐘を鳴らす。
緊急事態宣言に基づく一連のコロナ対策に実効性を持たせるためにも、われわれが気をつけなければならない点は何かなどについて、小口弁護士に聞いた。(聞き手・神保哲生)(本インタビューはSkypeを通じて遠隔で行われたものです。)