2013年11月06日公開

デジタル証拠は万能ではない

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ゲスト

慶應義塾大学法科大学院教授 弁護士

1950年京都府生まれ。74年慶應義塾大学法学部卒業。79年同大大学院法学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学法学部助教授、同学部教授、中央大学大学院客員教授などを経て2010年より現職。93年弁護士登録。法学博士。著書に『ハイテク犯罪と刑事手続』、『刑事訴訟法』など。

司会

概要

 犯罪の捜査にDNA鑑定やデジタル・フォレンジックなどの科学の力が転用されるようになってきている。それによってこれまで解明が難しかった事件の犯人を捕まえることができたり、冤罪が防げるのであれば、それは歓迎すべきことだろう。しかし、内容を理解するために高度に専門的な知識を必要とするデータが、裁判などで証拠として提示された時、裁判官やわれわれ一般社会はその意味を正しく理解し、最終的に正しい司法判断を下すことができるのだろうか。
 慶應義塾大学法科大学院教授で弁護士の安冨潔氏は、捜査段階における証拠の収集と保全、そして鑑定の経過と結果にいたる一連のプロセスの透明化が重要だと指摘する。鑑定そのものがいくら技術的に正しく行われても、その前段階の証拠収集や保全で何らかの恣意的な取り扱いがなされた場合、そのプロセスが不透明であれば、犯罪を正しく裁くことはできない。通常は警察や検察にとって不利な証拠は提出されないので、結果的にこのヒューマンエラーは被告人の不利益になる恐れがある。本来は冤罪を減らすことに寄与するはずの科学的証拠が、扱い方次第では冤罪を作ってしまう危険性もあるということだ。
 遠隔操作ウイルス事件でも注目されるデジタル・フォレンジックについても、安冨氏は「デジタル証拠には揮発性があり、簡単に改ざんできてしまう」と、その脆弱性を指摘する。その上で、「科学を過信してはならない。あくまでも一つの証拠であって、信頼できるかもしれないが絶対ではない」と述べて、科学鑑定やデジタル証拠に依存し過ぎることの危うさを指摘する。
 デジタル証拠の特性や法廷での取り扱い方、デジタル・フォレンジック技術の運用、高度に専門的な科学鑑定と捜査、裁判の在り方などについて、弁護士でもある安冨潔氏に、ジャーナリストの神保哲生が話を聞いた。

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