天皇・皇族の人権のあり方を問いつつ最高裁判決を検証してみた
東京都立大学法学部教授
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1953年栃木県生まれ。76年慶応大学経済学部卒業。83年同大学大学院社会学研究科教育学専攻修士課程修了。79年衆院初当選。党青年局長、経企庁長官などを経て、93年自民党を離党、新生党結党に参加。新進党、無所属を経て97年自民党に復党。衆議院憲法審査会筆頭幹事、自民党憲法改正推進本部本部長代行を兼務。(当選10回・栃木1区)
昨年公表された自民党の憲法改正草案は、憲法の本旨である「国民の国家権力に対する命令」に加え、国民に対する義務規定や道徳規制などが含まれている。また、表現・結社の自由についても、「公益や公の秩序に反しない」という制限がつけられるなど、基本的人権の尊重を柱とする現行憲法の精神からも逸脱している点が指摘されている。
自民党の憲法改正推進本部本部長代行を務める船田元衆院議員は「指摘されている問題点は今後も引き続き議論していく」としながらも、「道徳的側面は現在の日本人の規範意識が薄れてきている実情を考えるとどうしても書き込まざるを得なかった」と話す。また基本的人権をめぐっては、「現憲法は多くの権利を保障する一方で、義務に関する規定が少ない。これが利己的な風潮に繋がっているのではないかと懸念している」という。
自主憲法の制定は自民党結党以来の悲願だ。船田氏は党内の情勢について、「何が何でも自主憲法、という考え方は減っている。むしろ実際的な部分を変えていこうというプラクティカルな考え方を持つ議員が多くなってきた」と話し、改正論議の環境が整ってきたという認識を示した。こうした状況を受けて安倍首相はまず改正条項の96条を先行改正しようという構えを見せている。これについて船田氏は「衆参両院3分の2以上の賛成という規定を2分の1に緩和しても、その後に国民投票が控えているので硬質性が損なわれることにはならないのではないか。むしろ国民に憲法改正のチャンスを提示できるようにすることも大切だ」とその狙いを説明する。
自民党の改憲草案の背後にある考え方や憲法に対する認識、党内の情勢や懸念されるポイントなどを、党内で憲法論議をとりまとめる立場にある船田氏に、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。