石破元幹事長が総裁選への出馬を明言
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政府は14日、安倍政権が掲げる「成長戦略」の一環として、保険診療と保険外診療(自由診療)を併用する「混合診療」の対象範囲を拡大することを閣議決定した。しかし、これもまた先週の医薬品のネット販売解禁と同様に、安全面への懸念から当面は「今秋をめどにまず抗がん剤から開始」することを決めるにとどまった。
現行の制度の下では、保険適用外の薬や治療法を一部でも利用すると、保険適用対象の治療にも保険が適用されなくなり、患者は治療に掛かる費用の全額を自費負担しなければならない。混合診療が解禁になると、自由診療を併用しても保険診療分には保険が適用されるため、自由診療をより利用しやすくなり、海外の未承認薬や未承認の治療法の利用が容易になると言われている。また、自由診療の利用が増えれば、相対的に保険診療の比重が縮小し、結果的に財政負担の軽減にもつながることが期待されている。
しかし、影響はそこだけにとどまらない。薬害オンブズパースン会議のメンバーで江戸川大学教授の隈本邦彦氏は、十分な安全対策を取らないまま単に海外の未承認薬の利用を拡大すれば薬害を生む危険性が増すと指摘する。特に海外の未承認薬については、効果を誇大に謳った宣伝や中立性に疑問のある安全性試験の結果などが喧伝されていることが多く、注意が必要だと隈本氏は言う。
また、自由診療枠が拡大されることで、医薬品メーカーや医療機器メーカーが今後発売される新薬や新しい治療法を、より規制の少ない自由診療枠に優先的に導入する可能性が高いことから、結果的に保険診療の質の低下につながることが懸念される。
隈本氏は「ある程度の期間自由診療で利用すると、必ず保険診療に入れなければならない、などのルールを決めれば別だが、ルールがないうちに今の段階で解禁すれば国民が危険に晒される」と警鐘を鳴らす。
混合医療解禁の影響と課題を、薬害問題に詳しい隈本邦彦氏にジャーナリストの神保哲生が聞いた。