プラスチックごみ問題と添加剤による化学物質汚染
東京農工大学農学部教授
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1943年中国長家口生まれ。66年東京大学工学部卒業。72年同大学大学院工学系研究科博士課程単位取得退学。同年東京都庁入庁。環境保全局、環境科学研究所を経て2004年同研究所退職。同年より現職。「八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会」代表なども兼務。著書に『水問題言論』など。共著に『八ッ場ダムは止まるか』『首都圏の水が危ない』など。
八ッ場ダムの建設目的は利根川流域の治水と利水とされている。台風などによる洪水被害対策と関東地方1都5県の水不足を補うという大義名分である。しかし、水資源問題に詳しい嶋津暉之氏は「利水、治水を考えても、八ッ場ダムは必要ない」と指摘する。
国土交通省は1947年のカスリーン台風級の大雨を想定したデータを並べるが、利根川流域の保水力は、山林を伐採し尽くした終戦後間もない当時とは比べものにならないほど高まっていて、八ツ場ダムがなくても河岸の堤防を整備することで十分安全が確保できると、嶋津氏は言う。
さらに利水面では、人口増や経済発展に伴う利用水量の増大を前提としていること自体が現実とかけ離れていると指摘する。今後人口は減少に転じる上、節水型の機器も既に広く普及していくことを考えると流域の水使用量は減少が見込まれる。事実1990年代をピークに関東各都県では水利用量が減り始めているという。
建設を中止した後に必要な費用と最後まで建設した場合にかかる費用を比較しても、いま止める方が遙かに安上がりだと、嶋津氏は主張する。関係都県は、利水権返上に伴う負担金が膨大だと主張するが、あくまでもそれは地方自治体から国に税金が移管されるだけで、新たな住民負担が増えるわけではない。既に4千億円近くを投入し、総工費でおそらく5千億円以上に膨らむとみられるダム建設を続けることの方が全く費用対効果に合わない。
八ッ場ダムの抱える問題点を日本各地のダム問題に詳しい嶋津氏にジャーナリストの神保哲生が聞いた。