最高裁は捜査官のリークを肯定するのか 弘中惇一郎氏(弁護士・村木厚子氏リーク裁判代理人)
弁護士
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1945年山口県生まれ。68年東京大学法学部卒業。70年弁護士登録。郵便不正事件の村木厚子氏の他、ロス疑惑事件の三浦和義氏、薬害エイズの安部英氏、守屋武昌元防衛次官、小沢一郎民主党元代表、堀江貴文元ライブドア社長、鈴木宗男元衆議院議員らの主任弁護人・代理人を務める。自由人権協会元代表理事。共著に『安部英医師「薬害エイズ」事件の真実』、『刑事裁判と知る権利』など。
郵便不正事件で無罪となった元厚労省局長の村木厚子さんが、検察による報道機関へのリークの責任を追求する裁判を起こしている。4月10日には、国に対する損害賠償訴訟の控訴審で、村木さんの訴えを棄却する判決を下した。
原優裁判長は、「情報漏洩をしたと目される大阪地検の職員が特定されておらず、当該職員が情報を漏洩した時期、態様、及び目的等について具体的な事実を認定するに足りる的確な証拠がない」と、リークをした検事の名前や場所、目的などが特定されていないことを理由に、リークの存在すら認定しなかった。
村木さんの代理人を務める弘中淳一郎弁護士は、「裁判官が事実に基づいて合理的な推認をすれば逆の結論も出せたと思う。明確な証拠はないという理由で常識に反する結論を出したと思っている」と怒りを隠さない。
証拠の改ざんまで露呈し、特捜部幹部2人と主任検事の逮捕にまで至った郵便不正事件では、無罪となった元厚労相局長の村木厚子さんに対する不当な逮捕、勾留、起訴などの損害賠償として、国は村木さんへ約3770万円を支払っている。しかし、不当な行為の中身として村木さん側が示した捜査情報のリーク報道については国側が責任を認めなかったために、村木さんが国に330万円の損害賠償を求める裁判を起こして争っていた。
村木さんはなぜリーク問題にこだわったのか。捜査情報のリークは何故それほどまでに問題なのか。村木さんの代理人で数々の著名な刑事事件を担当してきた弘中惇一郎弁護士に、ジャーナリストの神保哲生が話を聞いた。