最高裁国民審査を審査する
司法ライター
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1975年長崎県生まれ。98年九州大学法学部卒業。司法試験浪人を経て04年より現職。著書に『裁判官の爆笑お言葉集』、『サイコーですか?最高裁』など。
最高裁についてよく指摘される問題点の一つが、最高裁の裁判官はその出自別に枠が固定され、体制派の裁判官や検察出身者が過半数を占めるため、最高裁の判決は常に政府寄りになるといった批判だ。
実際、現在も最高裁の裁判官は15人の裁判官のうち裁判官出身者が6名、検察出身が2名、官僚・外交官出身が2名、学会出身が1名となっており、弁護士出身者は4人しかいない。早い話が15人中10人が公務員出身だ。これまで一般的には弁護士出身者は国権よりも民権を重視し、疑わしきは被告人の利益にとなるポジションを取ると言われるが、それがこうまで少数派では、最高裁の判決の大勢に影響を及ぼすことはできない。
しかし、最高裁を取材してきた司法ライターの長嶺超輝さんは、最高裁にも変化の兆しがあり、裁判官出身者の中にも民権や人権の重視する裁判官が現れる一方で、弁護士出身でも従来よりより国権重視の裁判官が出るようになっていると言う。
例えば、児童ポルノ画像へのリンクを貼っただけで、公然わいせつの「正犯」として有罪になった裁判では、裁判官出身の寺田逸郎判事が「正犯にあたらず」との立場を示している。
しかし、その一方で、たとえば衆議院の一票の格差裁判で2.3倍の格差を「違憲状態」とした判決では、15人の裁判官のうち2人の弁護士出身者は明確に「違憲」を主張しているが、弁護士出身の山浦善樹、田原睦夫裁判官は「違憲状態」の多数意見に賛同している。違憲状態というのは、このままでは違憲になりますよという警告的な意味はあるが、判断としては「合憲」を意味している。
長嶺氏に最高裁の現状と課題を聞いた。