日本が原発依存から脱却すべきこれだけの理由
原子力資料情報室事務局長
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文部省(現文部科学省)が1980年、原発の放射線漏れの危険性を指摘する中学社会科教科書の記述の変更を、出版社と執筆者に要求していたことがわかった。
元中学校教諭の大谷猛夫氏は、1980年、日本書籍の中学地理の教科書を執筆した際に、原発について、「原子力発電所には放射線もれの危険という問題があり、発電所建設予定地ではどこでも住民の強い反対運動がおきている」という文章を書いた。
この文章は一旦は教科書検定を通過したが、その後科学技術庁から「子どもたちに誤解を与えかねない」とのクレームが入ったことを理由に、文部省から自主的な「正誤訂正」というかたちでの記述の書き換えを求められたという。
大谷氏は、元の文章から「危険」を「不安」に書き換え、「どこでも」と「強い」の二語を削除した。最終的には「原子力発電所には放射線に対する不安という問題があり、発電所建設予定地では住民の反対運動がおきている」という記述が教科書に残ることになった。
大谷氏によると、氏が執筆した日本書籍以外にも、当時地理教科書を出版していた8社のうち5社に、それぞれ文部省から原発の記述に関して自主的な訂正を求められたという。
大谷氏はまた、学校の教育現場には東京電力などから大量のパンフレットなどが送られてきていたという。その扱いは担任の判断に委ねられていたが、学校も原発に対する世論形成に携わっていたのではないかと、大谷氏は当時を振り返る。
大谷氏に、神保哲生が聞いた。